家庭菜園の始め方と初心者におススメの野菜を畑とプランターで紹介
家庭菜園初心者が野菜を栽培する上での初歩知識と種蒔きから収穫までの具体的手順と準備する道具やおススメの野菜、そして水やり、病害中、土づくりなどを簡単に今すぐ始められるように説明しています。 おススメ野菜は失敗し難い、今後の勉強になる、実用性が高いなどが理由です。
家庭菜園の楽しみとは
家庭菜園を始めるにあたって、何が楽しいのか漠然としていてピンとこない人も多いと思います。人それぞれに価値観も違う訳ですが、やって見たらおそらく多くの人を虜にする魅力が家庭菜園にはあると思います。
家庭菜園の楽しさについて私の場合は以下のような事ではないかと考えています。やって見れば必ずその楽しさを実感出来ますので是非始めて見てください。
1.趣味としての楽しみ
ドライブ、旅行、釣り、カメラ、ゴルフやDIYそして絵画など世には様々な趣味があり、それぞれに人を引き付ける魅力がいっぱいなものばかりと思います。
家庭菜園も一年を通して、色々な野菜の世話をしながらそれぞれの特性や育て方などを自分なりに考察したり研究することになりますので、とても奥深くて楽しい趣味になるはずです。
2.実益を感じる楽しみ
家庭菜園は大きな出費を伴わず、又日常の余暇を少しづつ使いながら出来る上に、食の自給と言う嬉しい実益もあります。
3.周りが喜んでくれる楽しみ
収穫の喜び、食卓で美味しくいただく喜び、とにかく家庭菜園は家族も喜びます。又たくさん採れた時のおすそ分けも楽しみの一つです。
4.健康を維持できる楽しみ
適度に陽を浴び、爽やかな風に当たりながら体を動かすことは心身共にリフレッシュでき、健康と体力の維持に最高です。
栽培計画や栽培方法、季節の移り変わりと毎日のお天気などにも少なからず頭と気を使うので、脳の老化防止にも良いかもしれません。
野菜づくりを始める準備
栽培場所と野菜のプランを練る
野菜を作るうえで一番最初に考えなければならないのが栽培する場所と、スペースに応じた野菜の選定などの栽培計画です。色々考えれば思わぬアイデアが浮かんでくるかもしれません。
1.栽培場所について
・プランター家庭菜園の場合
自宅の庭、玄関先、通路、カーポート周り、ベランダ、テラスなどプランターを置ける場所は探すと結構あるものです。
単管細工でプランターの置場やハンギングプランターを掛ける場所ならわずかなスペースで立体利用も可能です
・畑での家庭菜園の場合
すでに畑を確保していたり、敷地に余裕のある人以外は用地の手当てをする必要があります。市内であれば貸農園を市で斡旋している場合もあるので問い合わせしてみる方法もあります。
郊外ならば農家さんが使ってない畑を借りて家庭菜園を楽しんでいる人が回りに結構おられます。そのような人達に話を聞くなりすれば、案外簡単に畑は見つかるかもしれません。
・プランターと畑の組み合わせ菜園
自宅の庭などで畑が狭い場合は周囲を立体的にプランター置き場にすれば、畑の狭さをカバーして多数の種類の野菜づくりが楽しめます。
2.初めの野菜づくりのプラン
初めての野菜づくりを成功させるには栽培の難易度と管理出来そうな種類と量をよく考えて無理のない計画でやることが第一です。
又春から初冬まで楽しみが途絶えないように、栽培する野菜を選定することで、まずは1年間、野菜づくりの楽しさを実感することが大切です。
楽しさが実感出来ればしめたもので、やる気が益々湧いて来ることはもちろん、次はあれも作ってみたい、これも増やしたいと言う事に必ずなると思います。
道具、資材の準備
道具は最初から欲張らずに当面必要なものから揃え、知識が広がってきて欲しいものが出てきたら買い足す方が無駄買いをする事も無く、又気に入った良い道具を揃える事ができると思います。
・プランター
長方形、丸形などがあり、大きさや深さも色々ありますので栽培する野菜に合わせて選びます。
材質はプラスチックが軽くて腐らず実用的です。スノコのあるタイプが水はけ良くお勧めです。
種類は余り多くしない方が空きプランターの場合は重ねて保管できるので場所を取りません。
長方形のプランターであれば長径50~60㎝程度で深さは中くらいの標準タイプの野菜用プランターが汎用性があって色々な野菜に対応できます。
丸型ならば10~12号くらいのものが多くの野菜の栽培に使えます。
・野菜用培養土
野菜を栽培するには土が必要になってきますが、そこで頼りになるのがホームセンターなどで売られている野菜培養土です。
野菜培養土は野菜が育ちやすいように肥料も酸度も調整済みの用土ですから、プランターに入れてすぐに種を蒔いたり苗を植え付けたりできます。
野菜を育てるならば草花用ではなく、野菜に適した用土と肥料が調合されている野菜用培養土を選びます。プランターの数や容量に合わせて準備しましょう。
・種蒔き用土
もし苗を育ててみたいと言う事であれば、種を蒔くときにポットなどに入れて使う種蒔き用土が必要です。
種蒔き用土は種を蒔く容器の大きさによりポット用の粗目、プラグ用の細目の用土がありますので、種蒔きの容器によって使い分けます。
プラグなどの小さな容器は乾きにくくて保水性の優れた細かめの用土が適していると言う事になります。
家庭菜園初心者の人はプラグを使うことはないと思うので、用土の袋にポット用と記されているものを選べば良いと思います。
種蒔き用土も野菜の種が発芽しやすく又苗が育ちやすいように調合されているので、種蒔きの際に肥料などを加える必要はありません。
・鉢底石
水はけを良くするためにプランターの底に敷いて使います。ネットに入れて使えばプランターの用土を入れ替える際に、用土と混ざらずに簡単に分けられます。ネット入りも売られています。
野菜の種類やプランターの形状によっては不要の場合もありますが、野菜の栽培に慣れるまでは一応基本にしておいても差し支えることは無いでしょう。
・肥料
肥料の三要素である窒素(N)、リン酸(P)、カリ(K)の成分が8-8-8や14-14-14などの表記のある化成肥料の他に牛糞堆肥、鶏糞、油粕などの有機肥料そしてヨウリンなどの単肥、薄めて使う野菜用液肥、酸度調整に使う苦土石灰など色々あります。
初めての時はとりあえずは元肥、追肥ともに使えるとの表記があり、三要素がそれぞれ12前後の化成肥料と苦土石灰と牛糞堆肥があれば十分ですが、果菜類にリン酸を補足するためのヨウリンやマグアンプKが準備出来れば申し分ないでょう。
プランターの場合はさらに野菜用液肥を併用した方が良いでしょう。
肥料は小袋から20k入りの大袋まで多くの種類が売られているので、自分の栽培量に合わせて適切なものを求めれば良いでしょう。
・苦土石灰
雨で酸性に傾く土壌を野菜が育ち易い弱酸性の土壌に調整する為にアルカリ質の苦土石灰を混和する必要があります。
最適な土壌の酸度は野菜によって多少の違いがあるので、混和する苦土石灰の量は栽培する野菜により加減します。
苦土石灰には粒状と粉状のものがありますが風に舞うことがない粒状は扱いやすいです。又苦土石灰は野菜にとつて必要な微量要素であるカルシュームとマグネシウムも含んでいます。
・堆肥
代表的なもので完熟牛糞堆肥などが販売されています。
畑の畝栽培ではどうしても欲しいところですが、プランター栽培でも用土の再利用をする場合などで適宜使用すれば高結果を得られます。
多様な製品が販売されているので説明に従い適切な使い方をしましょう。
・40連結ポット
8×5列で連結された角ポットで簡単に1個づつになるタイプのものが家庭菜園では使いやすいです。
大きさも手ごろで、必要な土の量も多くなく、多くの種類の野菜で種蒔きから定植時迄苗を育てることができるので、何種類かの苗を数ポットづつ育苗する事の多い家庭菜園にはとても使い勝手が良いはずです。
苗を買う場合、連結ポットは不要ですが、育苗は最初からマスターすれば、趣味としての幅も面白味も断然増してきますので是非初めからやって見ることをお勧めしたいです。
40連結ポットは1枚からでも買うことが出来ます。
・ポットトレー
40連結ポットが丁度良く収まるように出来たトレーです。トレーを使えばポットが風に飛ばされることも無く、持ち運びも楽です。
又ポットの底穴がトレーで一部塞がれて鉢底網などを使わずとも用土が底穴からこぼれ落ちにくくなる為、作業性も良いです。
切り分けたポットを必要分だけセットして使え、もちろん1枚でも購入できます。
・移植ごて
苗を植え付ける為の穴を掘ったり、土を寄せたりする時に必要です。強い力を掛けても曲がらない丈夫さと錆びない材質のものが結局長持ちします。
目盛りが付いたものは株と株の間の寸法(株間)を測ることが出来て、定植の際などに便利です。
・ジョウロ
5~7リットルの容量で、蓮口は散水角度が小さめで優しい水流のものが、又ノズルは長めのものが家庭菜園では丁度使い易いと思います。
水の量も重さも手ごろなのでで思い通りの場所にやさしく給水することが出来る上に発芽したての未だか弱い野菜を痛めません。
・ハサミ
ひもなどのカットの他、収穫や古葉のカット、茎のカットなど多様な場面でハサミは必需品です。
一番のおすすめは多用途に使える丈夫な植木バサミ(大久保ばさみ)です。理由は古くなって多少切れ味悪くなっても、テコの力で結構太くて硬いものまで切れることです。
鋏は2丁用意しておいて、ヒモなどの軟らかいものを切る時と、固い茎などを切る時で、用途に合わせて分けて使うのが良いと思います。
・ピンセット
細かい間引き作業や小さな雑草を抜いたりするときに便利です。固まって発芽した小さな芽を指先だけで間引きすることは困難で、誤って意図しない芽を引き抜いてしまうことにもなりかねません。
・園芸支柱
トマトなど背の高い野菜が倒れないように支えて止める真っ直ぐな支柱や防虫ネットを掛けたり、ビニールを掛けたりする時に使う、曲がったトンネル支柱などです。
太さと長さはどちらも色々なサイズがあるので、栽培する野菜の種類や畝の幅に合わせて準備します。もちろんプランターに適したものもあります。
・防虫ネット
農薬を使わない場合は野菜の種類や季節によっては必需品です。
家庭菜園では間引き菜も大事な収穫物であり、間引き菜を利用する場合は農薬は使えない為に防虫ネットは必ず使うことになります。
理由は農薬を使用してから間引き菜を収穫する迄の期間が十分ではない為、残留農薬の心配があるからです。
・計量カップ
苦土石灰と化成肥料の量を測るのにあると便利です。カップに苦土石灰と化成肥料の双方について100g刻みの目盛りをマジックペンでつけておくとわかり易くて良いでしょう。
キッチンの使い古しでも100円ショップで買ってくるのも良いかと思います。要は手頃で使いやすければOKです。
・包丁
キャベツやブロッコリーなどの収穫には必需品です。必要の都度キッチンから持ち出さなくとも良いようにキッチンの使い古しでも良いので専用のものを用意しておくと便利です。
・鍬
畑を耕したり畝立てしたり土寄せする時に使います。小規模家庭菜園なら小型の鍬が軽くて女性にも扱いやすいです。ステンレス製のものが錆びずに、いつもきれいに使えます。
・鎌
雑草を抜いたりする為に必要な物ですが、家庭菜園では小鎌一つあれば十分です。
用具資材についてはこちらもご覧ください。一般的な家庭菜園で使っている農具、資材を紹介しています。
おススメ野菜と簡単知識
始めてでも楽しさがすぐに実感できるおススメ野菜
始めての方でも簡単に野菜作りの楽しさが味わえるおススメ野菜の紹介です。野菜名からそれぞれの栽培ページにリンクしていますので、実際の育て方はそちらのページをご覧ください。
プランター家庭菜園におススメ
どれも難易度が低く作りやすいものばかりです。又実用性もあり満足感もあって野菜を作ったという気分にもなるはずです。
青じそとイチゴは翌年以降は自分で苗も作れるので、チャレンジしてみるのもお勧めです。
・リーフレタス
丈夫で病害虫にも強く、春と秋何回も栽培可能で食卓に切れ目なく供給出来るほどの実用性もあり、葉を掻きながら収穫した場合、2か月程度の長期間楽しめます。
種から育てれば野菜作りのイメージを理解するのに最適です。
40連結ポットを切り分けて必要数に種を蒔いて簡単に育苗できます。プランターに直播きするよりも、育苗して定植した方がプランターを効率的に使うことが出来るので、お勧めです。
わが家の場合、プランターは一般サイズ520×342×深さ267の一般的な普通のサイズを使用して8株植えにしています。
初めてのプランター家庭菜園には一番にお勧めしたい野菜です。
・サンチュ
リーフレタスと同じレタスの一種ですので作り方は全く一緒で構いません。わが家では両種同時種まき、同時定植といつもセット栽培です。
赤みがかったリーフレタスと緑のサンチュのコンビも良いものです。いつでも彩り良いサラダコンビです。
尚レタス類はアオムシなどの害虫が嫌うのでこの点の苦労もありません。
・小松菜
成長スピード早く、比較的暑さ寒さにも強いので春秋とも栽培可能期間が長いです。
プランターに直まきして、間引き菜と成長したものを収穫して終わりという形ですが、成長が早いのでプランターを替えながら春秋何回も連続して栽培可能です。
プランターは普通サイズを使用して2列の筋蒔きをし、出来上がり時で1列あたり7株のイメージで良いと思います。
・青じそ
香味野菜として人気の青シソ(大葉)は日本のハーブで収穫時期も長いです。
最初は苗を買っても、翌年からは自家苗が期待できます。晩秋に実った種を収穫し、適当な場所に撒き散らしておけば来春自然に発芽するので、ある程度のサイズになったらプランターに定植します。
もっと早めに定植したい場合は早春に育苗しますが、方法は各野菜のページで紹介しています。
家庭菜園では直径30㎝程度(10号)の深型丸形プランターで1本植えておけば十分でしょう。
5月に植え付けて秋まで楽しめるので実用性も高いです。
・トマト
プランター栽培では定番とも言えるトマトは大型トマトより数多く実を付けるミニトマトと中玉トマトの方が楽しみも大きく長く楽しめるかと思います。
トマトは根を良く張るため、直径33㎝以上の深型丸形プランターが適しています。主幹は1本もしくは2本で育てます。
4/末~5/始めに植え付けて9/末ごろまで楽しめます。元肥の調整された新しい培養土を使う方が病害のリスクがなくて安心です。
・ミズナ
春も秋も作れるが秋作の方が利用価値があるかもしれません。寒さにも案外強く、成長した株では雪がかかっても枯れる事もありません。そしてミズナは間引き菜も利用できるうえに大株にしても食べ応えがあるので実用性も十分です。
プランターは普通サイズを使い、種蒔きはコマツナと同様で大丈夫です。尚ミズナは大株になるまで育てる時は最終的には4株に間引くと良いでしょう。
・いちご
冬を越して春が待ち遠しくなるイチゴは育てる楽しみも格別ですが、子供がいる家庭ではなによりも子供が一番喜ぶかと思います。
作型は10月初めに苗を定植して翌年5月末~6月初めの収穫となりますが、苗については翌年からは自分で育苗する事が出来ます。
わが家では普通サイズより少し長め(約600)のプランターには2株づつ、幅300程度のハンギングには1株づつ植え付けて栽培しています。イチゴはかなり根が張るので土量はある程度必要です。
最初に購入する苗は小さいものでは翌年の収穫はあまり期待できないので、翌年の苗取り目的以外はお勧め出来ません。
翌年にある程度の収穫を期待するならば、少し価格が高いですが秋に大苗を植え付けましょう。
新しい培養土を使うことが安全です。
畑での家庭菜園におススメ
おススメする野菜は実用的な野菜であり、多くの家庭菜園で作られているものばかりです。特にトマト、ナス、キューリは夏の家庭菜園では人気が高く、ホームセンターの苗売場には大量の苗が出回っている野菜です。
これらは難易度はそれほど高くはないですが、支柱を立てたりするなどの作業もあるので、最初からたくさん作らずに様子を見ながら増やしていく方が良いかもしれません。
その他ではジャガイモをはじめどれも実用的で保存性の高い野菜を選んでみました。栽培難易度もそれほど高くはなく、出来上がった時の満足感が大きい野菜たちです。
・じゃがいも
種イモを植え付けて約3カ月でスピード収穫できて長期貯蔵もできるすぐれもの野菜です。
植え付け適期と肥料が適正であれば、家庭菜園初心者でも十分期待できます。
3/20過ぎに植え付けて6/中ごろには収穫出来るジャガイモは種類がたくさんありますが、男爵あたりが作り易くて、収量も上がるでしょう。
・トマト
ミニ、中玉、大玉と色々植えておくのも楽しいです。トマト、ナス、キューリは冷涼地の場合保温設備が無い家庭では定植時期までに育苗が間に合いません。又連作障害防止の為接木苗を使う場合は苗を購入した方が簡単で安心です。
又苗を買って植えた方が自分で作った苗を遅く植えるよりも早くから収穫できて得と言う面もあります。。
トマト栽培で注意する事は即効性の化成肥料を与え過ぎると樹勢ばかり強くて花実が付かなかったりするので、元肥の化成肥料を少な目にして追肥で加減します。
4/末~5/始めに植え付けて収穫は9/上~9/末ぐらい迄です。
・ナス
色々な種類がありますが中長ナス、水ナスが秋まで長く楽しめそうです。
ナスは長期栽培していると連作障害とか土壌中の有害細菌による病害が出やすいですが、初めての場合案外うまく出来ます。
植え付けと収穫時期はトマトとほぼ同じくらいです。なすも接ぎ木苗の方が安心です。
・キューリ
曲がったものでも良しとするならば1本の苗でもたくさん収穫出来ますが、きれいなものを採るなら複数の苗を植えてキチンと剪定をします。尚キューリは高く伸びるので最低2メートル以上の支柱が必要です。
トマト同様に元肥で化成肥料を過度に与えると、葉ばかり大きくなり、実付き悪く、病気が多発します。
うどん粉病に強い品種も出回っていますので苗売り場で良く確認して求めたら良いと思います。トマトとナス同様接ぎ木苗が安心です。
植え付けはトマトと同じですが、収穫は8/上位迄です。
・キャベツ
キャベツは真夏を除き栽培可能な万能野菜です。キャベツは比較的安い野菜なので自分で育苗しないとあまりお得感がないが、いつも畑にあるのは嬉しいものです。
育苗もとても簡単で、方法はリーフレタスと同じ方法で40連結ポットに蒔いても十分出来ますのでぜひ自分でやってみて下さい。
家庭菜園では1年に数回栽培しても種は余りますが、保存しておけば数年は使えます。
・白菜
白菜は買えば一般的にはキャベツより多少高いので苗を買っても損はしませんが、簡単なのでやはり育苗したい野菜です。
畝に直蒔きもできますが、最近は温暖化で種蒔きの時期は暑い日が多く、高温と乾燥の為発芽しない危険性があります。そのため育苗しておいて、涼しくなってから苗を植えた方が安全です。
わが家では1ポットに2本づつ育て、そのまま定植するので、ポットは9㎝ポットを使っています。1本は途中で間引いて食べますが、白菜の間引き菜も美味しいものです。
ポットへの種まきは8/中~8/20迄に行い、収穫は11/中~12/上としています。
白菜の種蒔きは早過ぎると病害虫の被害を受けやすく、又上手く出来たとしても収穫が早すぎて保存に適しません。
逆に遅すぎると気温が低くなるまでに結球が間に合わずに終わってしまったという事になるので適時に行う事が最も大事だと思います。
・ブロッコリー
家庭菜園では茎が分岐して数多く収穫出来るタイプが良いと思うので、タネを買う時はよく確認しましょう。
キャベツ同様に40連結ポットを使って育苗は簡単に出来ます。同じく花蕾を食用とするカリフラワーやロマネスコも全く同じ方法で育苗出来ますので、すぐにレパートリーが増えると思います。
種まきは7/中に行わないと、寒くなるまでに脇枝が育ちきれず、側花蕾の収穫が出来なくなります。上手くいけば収穫は側花蕾を含めて10/中~12/下位まで出来ます。
春の栽培も出来ますが、育苗を未だ寒い時期にやらなければならないので秋の栽培の方が簡単かと思います。
・ダイコン
秋まきが一番簡単で、冬期間の貯蔵も可能であり使い道も多いのではないでしょうか。
ダイコンは移植が出来ませんから直蒔きです。株間を取って決めた場所にくぼみを作り一か所3~4粒づつ種を蒔き、間引きをしながら最後は1か所1本にして育てます。
8/末~9/始めの種まきが最適です。
・玉ねぎ
最初は苗を買って植え付けた方が簡単で安心です。
趣味として育苗もやって見たい方は次年度から挑戦してみても面白く、又苗が余ればおすそ分けしても喜ばれます。
苗の植え付けは10/20頃~11/始め迄に行い、収穫は翌年の6/中頃です。育苗する時の種蒔きは9/10頃が適期です。
以上初めての人が作る楽しみ、収穫する楽しみを難なく実感できそうな野菜を選んでみました。この中からお気に入りの野菜をぜひ選んで見て下さい。
尚家庭菜園で種を蒔いて野菜を育てる場合、必ず種は余ります。余った種は適切に保存しておけば、数年間も使えるものもあり、翌年位ならほとんどの種は使用可能です。
家庭菜園で多種類の野菜を栽培するには、経済的にも種の保存は重要ですので是非試してみてください。
水やりについて
プランター家庭菜園で初心者が一番気を付けたいのは水やりです。野菜が成長するには以下の要因が適切でなければなりませんが、水分以外の要因は自然がカバーしてくれたり、用土や肥料については毎日注意を払ったりする必要はありません。
結局毎日の見守りと水やりが一番大事だということですね。
野菜が成長するための要因
・発芽や生育に適した温度
適期栽培を心がけ、栽培時期を守れば何の面倒もありません。但しトンネルなどを使って促成栽培する場合は温度管理は重要な要素となります。
・適切な光量
日当たり加減が適切であれば問題ありません。プランターは移動も可能です。
・適切な養分と用土の酸度
石灰や元肥と追肥で調整しますが、元肥も含めせいぜい3~4回です。量と与え方と方法などの基本的な知識は必要ですが、わずかな回数です。
プランターの場合は新しい野菜培養土ならば酸度調整済みで元肥も必要量入っているものがほとんどです。
・用土中の酸素
水はけの良い用土であれば通気性も良く問題はありません。
新しい培養土の場合は全く心配ないですが、使い古した用土を再利用する場合は、用土の状態によっては微塵をフルイで取り除き、新しい用土を足したりするなどの再調整が必要です。
・成長できる空間と根を張るスペース。
野菜の種類に適合するサイズ、形のプランターを使うことが重要です。又適切なタイミングで間引きしたり、株間が適正であることが必要です。
・適切な水分
プランターは毎日観察して、必要ならば水やりして用土中の水分を適切な状態に保つ必要があります。又畑でもポットでも、種を蒔いた時は適度な水分を維持しなければなりません。乾燥させたら発芽はしてくれません。
結局野菜を作る上で日々休みなく注意を払う必要があるのは見守りと水分の管理ということです。
※マメに見守りすることは害虫や病気の早期発見にも繋がり、対処が早くなります。
水やりの基本
気温が高くて日差しが強い時に与えると、水分がお湯になってしまい根や葉を傷めます。しかしその反対で冬は気温の低い朝や晩に与えると用土を冷やしてしまい、植物の根に良くありません。
逆に冬は日中の暖かい時間帯に与えるのが基本となります。
降雨の有無、気温と日差し、野菜ごとの吸水量の多少、用土の状態によっても乾き具合はプランター毎に大きく違いますので、とにかく毎日プランター一つ一つ丁寧にチェックしましょう。
雨が降ったり気温が低かったりすると長い間水やりの必要の無い日が続きますが、観察する習慣がないとこの後忘れて水切れとなってしまう失敗が多いです。
万が一暑い日中に水切れでしおれてしまった時は、いったん日陰にプランターを移動し、その後プランターの温度が下がったら水やりします。
病害虫対策
家庭菜園では絶対無農薬でやりたいと言う人が大多数だと思いますが、環境によっては色々な害虫が生息しています。なにもしなければ必ず被害を受けることになります。
家庭菜園でも少し広くなれば農薬は必需品になります。その場合使用方法をしっかりと守り、出来るだけ使用回数を減らした減農薬栽培を心掛けたいものです。
農薬に頼らない病害虫対策
・新しい土を使う
プランターの場合は新しい培養土を使えばリスクは軽減します。殺菌済みなので病原菌や害虫の卵などが用土に混じっているなどの心配がありません。
・連作しない、接ぎ木苗を使う
連作障害防止の為同じプランターや同じ畝に同じ科の野菜を連作しない。狭い畑では連作障害になりやすいので必ず接木苗を使うようにします。
連作障害の要因は同じ植物を栽培すると同じ種の栄養分を吸収するので、土壌中の養分含有量のバランスが崩れて不足が生ずることと、同じ種の植物に特有の有害細菌と害虫が増殖する為と言われています。
その為に肥料などで不足しがちな微量要素を補ったり、堆肥を入れて有用微生物を増やし、その働きで有害細菌を減らすことも有効とされています。
・防虫ネットを使う
野菜を防虫ネットで覆い害虫をシャットアウトする。特に間引き菜を利用する葉菜には、農薬を使いたくないので必需品です。
家庭菜園では少量栽培のため、これが一番簡単で確実な方法です。しかし害虫はどんな小さな隙間からでも侵入するので、畑であればネットの裾は土を掛ける、又プランターであればヒモで縛るなどして隙間を無くす注意が必要です。
・捕殺する
こまめに観察して見つけ次第捕殺する。青虫、アブラムシ、根切り虫、ナメクジなどで可能です。ナメクジはプランターの底を時々チェックするだけでも多数捕まえることが出来ます。
アオムシやアブラムシのように葉を食べたり、吸汁したりする害虫の場合は、葉に小さな穴が開いていたりカスリ状になっていたりするのですぐにわかります。
初期のうちに葉の裏側にいる虫を捕殺するか又はこすり落とすなどして除去します。
・生息環境を無くす
畑や株元をきれいにし、ナメクジや土中害虫の日中の隠れ家を無くす。残渣の置きっぱなしも害虫の住み家になります。
残渣には病原菌に汚染された茎葉なども混じっている可能性もあるので、畑外処分するか、もしくは穴を掘って埋めるようにします。
・肥料過多にしない
肥料の与え過ぎは軟弱に育ったり、枝葉が繁茂して日照と風通しが悪くなり害虫が付いたり病気になりやすくなります。過栄養の軟弱な葉は害虫に好まれます。
・適切な間引きと枝葉の整理
風通しを良くする為に不要な枝葉や役目を終えた葉、病変した葉を取り除きます。とくに病変した葉は病原菌やウイルスを拡散させるので、見つけ次第取り除き、畑外に処分するか、もしくは穴を掘って埋めると良いでしょう。
間引が遅れて間隔が狭まると日照を求めて上へ上へと延びようとする為に野菜はひょろひょろした軟弱な姿になります。
その結果として病害虫にも弱くなるので適切な間引きは野菜が健全に育つためにはとても大切です。
土づくりから収穫までの作業手順
野菜を栽培するには一般的には以下の順序で作業を行います。必ずしもそうでなくて良い場合もありますが、基本としてやっておいてマイナス面はありません。
しっかりとした土づくりを行い、収穫という成果を達成する為には基本として捉えておくことが大事だと思います。
1 苦土石灰混和
種まき又は定植の2週間前迄には耕起して苦土石灰を混和して土壌酸度の調整をします。
プランターの場合も一度使用した用土の場合は適量混和して調整しておきましょう。
雨で酸性に傾く土壌にアルカリ質の苦土石灰を混和することで野菜の好む弱酸性の土壌にする為です。
2 元肥入れ
堆肥、化成肥料を入れて土と混和します。畑の畝の場合溝肥で入れる時もあります。種まき又は定植の1週間前迄には行い、しっかりと元肥が馴染んだ土を作っておきます。
肥料を施したばかりの場所に定植すると根焼けの危険があります。
3 種まき又は定植
元肥を入れて1週間以上経過したら種を蒔いたり、苗を定植したりすることが出来ます。苗を買わずに自分で育苗する場合は、この日に合わせて育苗しておきましょう。
種まきから定植出来るまでの日数は野菜の種類や季節により違いますがおおよそ1~1か月半です。育苗をやっているうちに次第に解るようになります。
4 間引と追肥
種まきしたものは、ポット育苗、畝に直まきを問わず、混み合わないように適宜数回の間引きをします。又生育途中に肥切れとならないように2-3回程度の追肥を与えます。
5 収穫
野菜の種類により収穫出来る期間は長短あります。収穫の方法も様々で、切り採ったり摘み採ったりするもの、間引き収穫から始まるもの、肥大したり熟したりしたものから順次に収穫するもの、出来上がったら1回で収穫してしまうものなど色々あります。
6 後片付け
収穫を終えたら、根株を取り除き土をきれいにして次の野菜の準備をします。急ぐ時は耕してすぐに次の野菜のための苦土石灰を入れることもあります。
プランターの場合は次の野菜は予備のプランターを準備しておいて、順次回転させて使えばスピーディーかつ合理的です。
プランター家庭菜園で新しい培養土を使う時は基本的には上記の1と2の土づくりの作業は必要ありません。しかし製品により又は野菜の種類により肥料が不足に感じる時もあります。そういう場合は元肥を少し加えたり、追肥で補えば良いでしょう。
追肥については野菜用の液肥を使うのも手軽で便利でしょう。培養土の製品ごとの特質は何回か使って見て解るものですが、特別安いものはダメみたいです。
気に入ったものを見つけて、いつもそれを使うのが一番安心ですね。
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このページで紹介していることは家庭菜園を始めようとする方や初心者の方向けに【家庭菜園とはどんなものか】という概要的なものです。もう少し詳しい事とか、野菜の育て方の実例などは下記のリンクページよりご覧いただけます。
野菜作りの基礎知識-土づくり、肥料、土の酸度、種まきと育苗、病害虫と農薬、連作障害、種子の保存、スペースの有効活用、用土の再利用など一応知っておきたい知識
栽培ごよみ-我が家の菜園の年間の種まきと定植、収穫時期の野菜づくりカレンダー。野菜名からそれぞれの栽培ページにリンク。わが家の家庭菜園での育て方などを紹介しています。本ページで取り上げていない野菜の育て方も多数紹介しています。
種まきと育苗-家庭菜園向きの方法-時期ごとの種蒔きまたは定植する野菜、種を直蒔きする野菜と方法、向光性種子と嫌光性種子、育苗する野菜と育苗容器、苗を購入した方が良い野菜、実際の種蒔きと育苗作業
プランターで家庭菜園-プランターで栽培できる実用野菜-プランターでの実用的な野菜の作り方などを紹介しています。