野菜づくりの基礎知識

これだけ知っておけば困る事はない基本を初心者向けにまとめました

野菜づくりの基本

野菜をつくるうえで知っておくべき一般的な事柄を簡単にまとめてみました。家庭菜園での土づくりから種蒔き、育苗、病害虫や農薬など実際の場面で必要な野菜づくりの基礎知識を初心者向けに解り易く説明しています。
基本中の基本で当たり前の事ばかりですが、たぶん私も周りの人達も素人は皆この程度の知識で家庭菜園を楽しんでいますので、難しく考えずに眺めて下さい。

土づくりの基本

種蒔きや苗を植え付ける時までに、酸度(PH値)が適正で水はけ良くて、ふかふかで適量の元肥がなじんでいる状態の土にする為に、以下のような作業を行います。プランターの土を再利用する場合もこれに準じて土づくりを行います。

1 耕起と酸度調整 
まず土をよく耕して、酸度を栽培する野菜に合わせて弱酸性~中性に調整する為に苦土石灰を土壌に混和します。前作の残り根や小石、害虫の幼虫なども注意して取り除きます。
基本的には種蒔きや定植の2週間前までには済ませたい作業です。後述の肥料成分との反応を回避する為にも時期は、元肥を入れる1週間前と言う事を守った方が心配ありません。
又家庭菜園では粉状よりも粒状の苦土石灰が風で舞うことも無いので使い易いと思います。
2 元肥を入れる
堆肥と化成肥料を施して畝を整えます。施し方は野菜の種類より、畝の全体に混和する全面施肥と、畝に溝を切りその中に施す溝施肥などの方法があります。
元肥入れは種蒔きや定植を行う1週間前迄には行います。

・全面施肥              
全体に肥料をまき、よく混ぜ合わせて畝を整える。栽培期間が短く、根張の浅い野菜に向く他、肥料の塊などで又根になりやすいニンジンやダイコンの根菜にも向いています。

・溝施肥               
畝に鍬幅の深さ30センチほどの溝を切り、溝の中に肥料を施してから周りの土で埋め戻して畝を整えます。
雨による肥料の流失が少なくて肥料効率が良く、トマト、ナスなど栽培期間が長いものや、キャベツや白菜など肥切れさせずに大きく育てたいものなどに向いています。
この他の元肥の入れ方には、ジャガイモのように種イモを植え付ける際にイモとイモの間に置き肥する方法などもあります。

※肥料の入れ方は狭い場所での手作業か、広い農場での機械作業かでも当然違いますし、砂地で肥料持ちの悪い畑では追肥はこまめに施すなど、これでなければダメと言う訳ではないです。
家庭菜園では多少手間がかかつても、肥料が無駄にならずに良く効くことを考えながら施すことで良いと思います。

※苦土石灰と化成肥料の量
苦土石灰や化成肥料の施肥量については実用書やインターネット上で150g/㎡などとよく解説されていますが、この場合は1㎡当たり150グラムを土壌に混和すると言う意味です。
化成肥料と苦土石灰の量は、元々の土壌の状態にもよりますが、どちらも概ね以下のような解説が多いです。

・かなり多めが良いとされる野菜    150g/㎡~200g/㎡
・多めが良いとされる野菜       150g/㎡
・普通の量の野菜           100g/㎡
・少な目で良いとされる野菜       50g/㎡

注-苦土石灰と化成肥料については片方が多く、片方が少ない場合も当然あります。
例えばホウレンソウは酸性に弱いので苦土石灰はかなり多めの150~200g/㎡とし、化成肥料は普通の100g/㎡が適量ですと言うような事です。

※化成肥料の成分と施肥量の加減
化成肥料の施肥量については肥料の三要素である窒素(N)リン酸(P)カリウム(K)の含有量がそれぞれ15-15-15の場合は100g/㎡ですとハッキリ説明している実用書もあれば、特に触れずに曖昧なものもあります。
もともと野菜はNPKそれぞれの吸収量が均等という訳ではなく、窒素は必要だがリン酸はそれほど必要でない野菜も多いはずです。
その意味においても単純に化成肥料を100g/㎡が適量ですよと言われてもかなり曖昧だと思っています。
そこで私は窒素についてだけ自分の使う肥料の窒素成分と照らして加減し、リン、カリについては不足であれば単肥で補足し、多少の過剰気味の時は特に障害も無いので無視してます。
実用書などで家庭菜園初心者に勧めている均一調合の化成肥料の施肥量の目安は窒素を主体にして、リンとカリは多少なら過不足があっても仕方ないという考え方なのかな?とも思っています。

※堆肥の量
堆肥については色々な商品が販売されていて、それぞれに成分も異なりますので一概にどれくらいとは言えませんが、化成肥料などと違って肥料分が少なく遅効性ですので、仮に多小入れ過ぎたところで重大な障害を起こすようなものではありません。
堆肥は土中の有用微生物を増やしたり、土の団粒化を促進させてふかふかにする効果のほうが重要なものだと思います。一般的には発酵牛糞堆肥などの場合20ℓ/㎡前後施用するとか、用土の1/3の量を混和するとかの表記が多いようです。
私は牛糞ともみ殻を混合した堆肥を表土が見えない程度(8~10ℓ/㎡位)を入れます。3㎡の畝で角スコップで軽く5杯というところでしょうか。費用も考えて少なめですが、毎回入れているせいか、今のところ特に問題も無く土も次第に良くなってきているようです。

※土中の病原菌と害虫対策
畑でもプランターでも長く使い続けた土には色々な病原菌や害虫の卵や幼虫が住みつくようになり野菜に被害を与える可能性が高くなってきます。
土づくりにはそのような事に対しての農薬による対策も含まれるかと思いますが、家庭菜園ですので、そこは省略して様子を見ながらと言う事で良いのかなと思っています。

野菜の肥料


野菜はミリ単位の小さな種からわずか2-3カ月で成長します。そのため盆栽や観葉植物などと違い、多くの野菜は基本的に短期間に多くの肥料を必要としますので、成長に必要な肥料を不足しないように、元肥や追肥という形で施していく必要があります。肥料について簡単にまとめてみました。

肥料の栄養素

肥料の三要素
植物の生育にとって一番多く必要とされる窒素、リン酸、カリのことを指して肥料の三要素とも言われます。
窒素(記号N ) は葉肥とも言われ、茎葉を大きく繁らす。不足すると葉色も薄く大きく成長しない。過剰の時は繁茂し過ぎて花つきが悪くなったり、病気にかかりやすくなったりします。
リン酸(記号P)は実肥とも言われ、花付きを良くして実を大きく肥大させる。トマト、イチゴ、ナスなどの実物野菜には多めに与えるようにすると良い。過剰による障害はほぼ無いと言われています。
カリ(記号K)は根肥とも言われ、根を生育させて植物を元気にさせる。植物の成長バランスに関わり、病気や寒さに対する抵抗性を高める。特に過剰の場合はCaとMgの吸収を阻害して欠乏障害を起こさせるので注意が必要です。
肥料の袋にN10P10K10と書いてあれば100g当たりそれぞれ10g含まれていると言う意味で10%と考えても良いと思います。10K入りの肥料であればNPKともに1Kづつ含まれていることになります。

肥料の重要要素
三要素の次に植物に吸収される成分で中量要素とも言われているものにカルシュームとマグネシュームがあります。
カルシューム(記号Ca)-苦土石灰を適切に使っていれば、それ自体がCaなので不足することは、ありません。
マグネシューム(記号Mg)-別名苦土とも言われ、苦土石灰に多く含まれていますのでこれも苦土石灰を適切に使用していれば問題ありません。

肥料の微量要素
植物に吸収される量は微量ですが、大切な成分です。普通は土壌中に含まれているものですが、連作などの関係で不足する成分が生じます。
鉄(Fe)、マンガン(Mn)、モリブデン(Mo)、ホウ素(B)、銅(Cu)、塩素(Cl)、硫黄(S)、亜鉛(Zn)、ケイ酸(Si)などのことで、それぞれが植物体を形成するたんぱく質、でんぷん、炭水化物や植物の光合成に係る葉緑素にとって重要な役割を持っています。
欠乏すると葉が黄化したり、変形したりして正常な生育が出来ない障害を起こします。ホウ素以外は特に不足することは無いと言われていますが、欠乏症状が見られる時は、微量要素入りの肥料や連作障害防止剤などで成分の補足をした方が良いでしょう。
個人的には、これらの肥料については時々は予防的に使用する方が良いと思っています。尚モリブデン以外は土壌がアルカリになると不溶化して効果がなくなるため、アルカリ肥料である石灰の入れ過ぎは禁物です。土壌の酸度は見た目では解らないので、時々は酸度計で計測すれば安心です。

肥料の種類

有機質肥料  
油粕、草木灰、腐葉土などの植物系のものと牛糞堆肥、発酵鶏糞、漁粉、骨粉などの動物系のものがあります。稲わらやもみ殻、野菜くずなどを腐熟させたものも含みます。
微生物の働きで土がふかふかになり、又土中に混和することで、物理的にも土は柔らかく、水はけも良くなります。

無機質肥料  
化学肥料のことでNPKを用途に応じて調合加工した化成肥料と1つの成分しか含まない単肥があります。
肥効が高く基本的には即効性ですが加工により肥効が長めに持続するものもあります。元肥にも使えるタイプのものがこれに属し、追肥専用のものは即効性に重点を置いた肥料です。化成肥料を買う時はよく確かめることが大事です。

単肥
リン酸肥料のヨウリンや過リン酸石灰、窒素肥料の硫安(硫酸アンモニウム)、カリ肥料の硫酸カリなどがあります。野菜の種類に応じて、化成肥料に加えて使われます。例えば花実を重視するトマトやイチゴにはヨウリンを使ってリンを補足するというようなことです。
わが家の家庭菜園ではヨウリンを化成肥料の1/3程度補足して元肥に使うことが多いです。

配合肥料   
有機質と無機質肥料が配合されたもので、化成肥料に油粕、魚粉などが混和されたものがあります。

液体肥料   
水で規定倍数で希釈して与えます。草花に適する成分のものと野菜に適する成分のものがあります。
草花用はリン酸の分量が多め、野菜用は窒素分が多めが一般的ですが、野菜でもトマトやイチゴはリン酸の多い草花用を使うなど、植物の種類で使い分ければ良いと思います。

石灰   
酸性に傾いた土を野菜に適した弱酸性~中性にする為の酸度調整剤として使います。
土壌の酸度を調整するものには消石灰、苦土石灰、有機石灰があり、それぞれの特徴を理解して使う必要があります。
消石灰(水酸化カルシウム)-3種類の中で一番アルカリ度が高い為、酸性の中和効果も高く消毒効果もあります。粒状と紛状があり、粒状の方が風に飛びにくく作業しやすいです。
苦土石灰(炭酸カルシウム)-アルカリ度は中くらいで粒状と粉状がある。炭酸マグネシウムを多く含んでいるので、これを使えばカルシウムとマグネシウムは不足することはありません。家庭菜園では特別な目的が無い限りは苦土石灰を通常使っていて問題ないと思います。
有機石灰-カイガラなどを砕いて作ったもので、アルカリ度は一番低いが、土壌に混和してすぐに種を蒔いたり、苗を植え付けることができるので、期間に余裕が無い時は便利です。

※肥料の施用における注意点
消石灰と同時に硫安(硫酸アンモニウム)を施用しない。
反応して毒性のあるアンモニアガスを発生するので、硫安を使う場合は消石灰はそれより2週間以上早く施用する必要があります。
消石灰、苦土石灰と同時に水溶性リン酸を含む化成肥料を施用しない。
反応して水溶性リン酸が不溶性となってしまい、肥効がなくなります。化成肥料を使う際は消石灰はそれより2週間、苦土石灰は1週間早く施用する必要があります。

肥料の与え方

元肥   
種を蒔く前や苗を植え付ける前にあらかじめ施しておく肥料のことで施し方は畝全体に混和する全面施肥や畝に溝を掘りその中に施肥してから埋め戻す溝施肥などがあります。種蒔きまたは定植の1週間前には施します。

追肥   
生育途中に肥切れをしないように与える肥料で収穫まで2-3回与えるとともに、野菜の種類によっては株元に土寄せをします。
土寄せの必要ない野菜でも肥料が隠れる程度の土をかけておくと雨での流失や大気への蒸散を防ぎ肥料効果が高まります。

肥料の効き方の違い

即効性肥料  
化成肥料は一般的に即効ですが、加工により効果が持続するものもあります。

緩効性肥料  
堆肥などの有機質肥料は肥効は高くないですが、ゆっくり長く効き、土壌の改良効果があるので、使い続けている中で次第に良い土に変わってきます。
化成肥料や配合肥料でもゆっくり長く効くように調合されたものがあり、中には一発肥料と言って元肥で施用すれば収穫まで追肥不要というものもあります。

肥料成分の溶け方の区分
肥料袋に記載されている成分保証書の中でリン酸とカリ成分ついては土中への溶け方について記していますが、意味は以下の通りです。
水溶性 いわゆる水に溶けやすいもので、植物がすぐに吸収できます。
可溶性 植物の根から出る根酸で溶け、比較的早く吸収されます。
ク溶性 クエン酸2%液で溶ける性質で根酸程度ではすぐに溶けないためにゆっくりと効きます。
不溶性 酸でも溶けず、発酵や微生物による分解を経なければ効かない為肥効はさらに遅くなります。

肥料には多種多様なものがあり、成分も色々、一袋の量も数百gから20Kgと様々あり、自分の栽培量に最適なものを選べます。
成分はNPKが8-8-8~15-15-15の同量のものから3要素のうちどれかが加減されたもの、微量要素が含まれるものまで多種あり、又ジャガイモ用とか野菜ごとに適する調合になったものまであります。
化成肥料の種別としても化成肥料、有機質を加工調合した有機入り化成肥料、配合肥料がありますが、価格は化成肥料から順次高くなります。
どれを選んでも構いませんが、自分は堆肥などの有機肥料を十分に施しているから化成肥料で十分とか、又はその逆で配合肥料にするとか、を考えて決めれば良いのではと思います。
始めての人はNPKが12前後の同量配分で元肥と追肥双方に使用できる化成肥料を選べば野菜を育てるのに支障はないと思いますが、色々試したい場合は下記(わが家で使っている肥料)も参考までに!

わが家で使っている肥料

堆肥
牛糞ともみ殻を合わせた堆肥で、牛舎に敷いたもみ殻を発酵させたもので、ほぼ無臭で乾燥状態の為、手で掴んで撒けるほど扱いやすいです。
畑の残渣や落ち葉なども使いますが、病気にかかった野菜の残渣を使わないことと、完全に腐熟していないものは使わないように注意しています。本当はごみとして全て畑外処理したいところですが、そうもいかないので色々工夫しています。
その他としては古畳のわらと雪囲いに使った縄も敷き藁として使った後には腐熟させて土壌にすきこんでいます。

石灰
ほとんど苦土石灰を使っていますが、消毒したい時や植え付けまでに日数が無い場合に消石灰と有機石灰を使うことがあります。

化成肥料
微量要素入り化成肥料-3要素の成分量が多く、ク溶性リン酸と微量要素が含まれているので元肥専用で使っています。NPK14-10-13という成分構成でリンが少し低い感じを受けますが、実際はク溶性ということもあり、毎回使っていると畑にリンが残っている為不足することは無いと思います。
高度化成14-14-14-水溶性のリン酸が多く含まれて、即効性なので追肥は主にこれを使っています。各成分の配合率も多く価格も安くて効率の良い肥料です。

ヨウリン  
ク溶性リン酸が20含まれる肥料で、元肥用です。アルカリ分も20%あり、苦土とケイ酸も含んでいます。トマトやイチゴなどの果菜類などに使うことが多いです。

硫酸カリ  
水溶性カリを50%含み元肥、追肥とも使えますが、イモ類と枝豆の元肥に使用する以外はあまり使っていません。

過リン酸石灰 
水溶性カリ14.5%、可溶性カリ3%を含み、元肥と追肥に使えますが、即効性なので追肥に使うつもりで準備していますが、実際にはほとんど使っていません。

連作防止剤(土壌改良剤)
野菜に必要な各種の微量要素を含み、アルカリ度もあるため酸度調整にもなります。連作気味の場合や連作に特に弱い野菜に使っています。

ペレット鶏糞
鶏糞を発酵させ扱い易くペレット状にしたものでリン酸3.5%、窒素とカリをそれぞれ2.5%程度含む有機肥料です。
即効性があるので主にリン酸の補給を目的に追肥として使っていますが、元肥としても使え、土壌の改良も期待できます。価格もとても安いので色々な作物に試したいと思っています。

その他
水で1000倍程度に薄めて使う液肥(野菜用液肥やハイポネックスなど)とマグアンプKをプランター栽培に使っています。
マグアンプKは草花に使う人が多いと思いますが、トマトとイチゴのプランター栽培に使っています。

以上がわが家で使っている肥料の全てですが、初めの頃は化成肥料、苦土石灰、堆肥だけしか使っていなくとも十分野菜は作れていたような気がします。続けているうちに連作障害の事が気になったり、もう少しマシなものを作りたい、人から聞いたりテレビや本で見たことを試してみたいとかで肥料の種類が少し増えた感じです。それが趣味としての楽しみの大切な部分かなとも思っています。

野菜が好きな土の酸度(PH値)

野菜は種類によって好む土壌酸度が違います。適応範囲が狭いものや広いもの、極端に酸性に弱いものなどさまざまです。苦土石灰で調整します。

酸性にとても弱い野菜 (苦土石灰は多めの150g/㎡~200g/㎡を混和) 
PH値6.5~7.0を好み、玉ネギ、ホウレンソウ、チンゲンサイ、ハクサイなど

酸性に弱い野菜 (苦土石灰は多めの150g/㎡を混和)
PH値6.0~6.5を好み、ネギ、ニラ、トマト、ナス、ピーマン、インゲン、エンドウ、セロリ、レタス、シュンギク、ブロッコリー、カリフラワー、ニンジン、オクラ、ミズナ、など多くの野菜があります。

普通 (苦土石灰は100g/㎡を混和)      
PH値5.5~6.0を好み、キューリ、イチゴ、大根、かぶ、キャベツ、コマツナ、さつまいもなど

酸性に比較的強い野菜 (苦土石灰は少なめの50g/㎡を混和)
PH値5.0から5.5を好み、ジャガイモ、スイカなど


野菜ごとの最適PH値は調べてみると書籍などによっても0.5程度の違いは多く見受けられますが平均的には以上のように5.5~6.5くらいの範囲内であればほとんどの野菜は育つと言えると思います。
実際私の場合も玉ネギ、ホウレンソウ、ネギ、トマト、ナス、セロリ、じゃがいもは注意していますが、他の野菜は特別気にしていません。
PH値を上げたい野菜は150~200g/㎡普通で100g/㎡、上げたくない野菜は50g/㎡程度に毎回施しつつ輪作を繰り返しているのですが、畑の土のPH値は問題なく安定しているようです。時々酸度計でチェックすることをお勧めします。
ちなみにPH値は1~14まであり中心が7で6~8までは中性、それより前後3までが弱酸性と弱アルカリ、それ以上中心から外れたら酸性とアルカリ性となります。数字の少ない側が酸性です。

種蒔きと育苗

種蒔きは畑の畝に直接蒔く直蒔きとポットなどの容器に蒔き育苗する容器蒔きがあります。どの方法が良いのかは、野菜の種類によって適した方法が異なりますので、「家庭菜園向きの種蒔きと育苗」ページで紹介しています。
尚家庭菜園の場合種は少量しか必要でない場合が多いと思いますが、野菜の種は数年は使える事が多いので余った種は捨てずに保存しておくことをお勧めします。

種子の保存についてはこちら   家庭菜園向きの種蒔きと育苗についてはこちら

種蒔きの方法

直蒔き

バラ蒔き 
畝やプランターなどの表土に種が重ならない様にバラ蒔きします。覆土はフルイを使って均等にかけるうにします。

スジ蒔き 
表土に棒や板を押し当てて蒔き溝を作り、タネを等間隔で撒きます。覆土は溝の両側の土を親指と人差し指で寄せて押さえれば簡単です。バラ蒔きよりも種が無駄にならず発芽が揃って見た目も綺麗です。蒔き溝の向きは畝と直角の横溝と平行の縦溝があるので、野菜によって選びます。

点蒔き  
瓶などの底を表土に押し当ててくぼみを作りその中に撒いて覆土します。ダイコンやオクラなどあらかじめ株間を決めて蒔く場合に点蒔きします。

容器蒔き

苗作りの為に色々な容器に種を蒔いて定植するまで育てます。

トロ箱、育苗トレイ  
たくさんの種を発芽させて、少し大きくなったらポットなどに移植して育苗する場合などに使います。
家庭菜園の場合、苗の数も少ないのでこの方法ではなく直接ポットに種を蒔いた方が現実的でしょう。
実際に私も箱に蒔くのは枝豆だけです。枝豆の場合は子葉が展開し、本葉が出始めたら徒長しないうちに畑に定植してしまい、ポットなどへは移植していないので使っています。

ポット、セルトレイプラグ  
大小さまざまなものが販売されています。なにをどの程度の大きさまで育てるかを考慮して決めます。プラグなどの小さな容器は細目で水持ちの良い種蒔き用土を使って水切れに注意します。
   
容器蒔きの場合、直接雨に当たらない、適度な日照と風通しの良い戸外で管理したほうが無難です。
強い雨に当たり苗が倒れたり、加湿になったり、肥料分が流失するのを防ぎ、安定した成長が見込めます。
わが家では屋外に置いた苗の台にトンネル支柱を使ってビニールの雨除けをしています。

種蒔きで注意すること

種蒔き時期  
適温でないと発芽しなかったり、発芽に時間がかかります。秋野菜は早すぎると病害虫の被害が多発し、遅すぎると寒くなるまでに成長しきれません。
又早過ぎ遅過ぎは野菜の種類によってはトウ立ちの原因になります。そのような事を防ぐためにも適期に種を蒔く事は大切です。

保温
早春に種蒔きする場合は未だ発芽可能な温度に達していない為、ビニールトンネルなどで保温する必要があります。容器蒔きの場合はポットなどの容器をトンネル内で管理しながら育苗をする事もあります。

種蒔き培土  
苗作りの為にポットなどの容器に種を蒔く時は専用の用土を使います。保湿、通気性、肥料など考えて調整されており、病原菌の心配もありません。
細かめで乾きにくい調合のものや粗目で水はけの良いものなど色々売られています。古い土や畑の土は失敗のもとです。

平に均してから蒔く
種を蒔く時は表土を板などで平に均してから蒔き、覆土も均一に掛けます。
凸凹していると表土の湿度が均一にならず、又低い所に土が流れて覆土が厚くなったりして発芽が不揃いになる原因となります。

種の性質   
種には発芽に光を要する好光性種子と光を感じると発芽しにくい嫌光性種子ががあります。
種袋の説明を必ずチェックして、種蒔きの後にかける土の厚さに注意しましょう。

・好光性種子 
覆土はごく薄く、又はタネが見え隠れする程度にします。レタス類、ニンジン、セロリ、バジル、シソ、パセリ、シュンギク、モロヘイヤなど

・嫌光性種子 
覆土は1センチ程度かけます。ネギ、玉ネギ、ニラ、トマト、ナス、ピーマンキューリなど

どちらにも属さないものについては0.5から1センチ程度の普通の覆土で構いません。
好光性種子の方が癖が強く少し余計に土をかけると発芽しないことがよくあります。

保湿について  
種子が発芽するためには湿度が必要です。適切な湿度を保ってきれいに発芽を揃えましょう。

・あらかじめ種子に給水させる
種皮の硬いゴーヤ、オクラは一晩水に浸けて給水させてから蒔くと発芽し易く、又種子の表面に発芽抑制物質があるホーレンソウは洗ってから一晩水に浸けてから蒔くと発芽が揃うなどの例があります。

・午後に蒔く
高温で日差しの強い日は午前中に蒔くと夕方行ってみると乾いていたと言う事がよくあります。
その為午後3時以降に蒔くとリスクが小さいです。翌日が曇天か小雨という日を選べばベストです。

・軽く鎮圧する
種を蒔き覆土した後は手のひらや板で軽く押さえると、タネの流失を防ぎ保湿効果もあります。

・人工的に保湿する
不織布や寒冷紗又は新聞紙で畝やポットなどを覆い水分の蒸散と日射を軽減させる。

・畝に給水しておく
日照り続きで乾燥が激しい時は、畝の表土の10センチ程度の深さまで軽く耕すと、水が吸い込み易くなるので、種を蒔く前日から数回に分けてたっぷりと給水しておいて、種を蒔く時に表土を平に均し直します。

水やり
・優しくやる
水を多くやり過ぎたり、強くやると土の構造が崩れ通気性が悪くなり発芽に支障をきたします。
水は乾いたら適量優しくあげることが大切です。給水用具の選定も大事です。

・底面吸水
発芽間もない芽はジョーロで水やりすると倒伏することがあります。このような場合ポットであれば、深さ3-5㎝位の水を張った容器の中にポットを入れて底穴から水を吸わせます。
しっかり水を吸えば重くなるので持って見ればわかります。

育苗中の管理
・雨に当てない
ポットなどでは少ない用土のため、降り続く雨に当てれば加湿になるうえに肥料成分もすぐに流失します。又強い雨に当たれば苗が倒伏します。
順調に生育させるには苗が小さくてか弱いうちは雨に当てずに管理した方が安全です。

・日光と風通し
室内や日陰だと徒長して軟弱な苗になるので、日当たり良く風通しの良い戸外で育てます。しかし真夏の育苗では逆に寒冷紗などで日除けをする場合もあります。

・適宜間引きする
混み合っていては徒長して軟弱になります。成長に応じて適宜遅れることなく間引きします。

・害虫に注意
キャベツやブロッコリーなどは育苗中から青虫が付きます。ネットまたは薬剤で防除しておかないと、成長点を食害されたらダメージが大きくなります。

よくある病害虫被害と対策

病害虫は多種多様あり実際私も経験したことがないものも多いですが、被害を受ける可能性の高いものは毎年ほぼ以下のごとく決まっているようです。
いづれもネットや捕殺だけでは完全に防除することは難しく、農薬に頼らざるを得ない場合が多々あります。農薬については収穫期に近いほど使うことにためらいもあり、実際に残留農薬の危険もあります。
どうしようも無くなり最後に慌てて使用するよりも、予防防除としての、種蒔きや植え付け前の土壌処理、生育中期までの計画的な使用が防除効果も高くて安全だと思います。
但し間引き菜も食用で利用する葉菜類は無農薬で栽培して、害虫は防虫ネットで防除する方法が安心であり、又気持ちも良いと思います。

害虫

・アブラムシ  
ナス、スイカ、食用菊、キューリなどに多い、オクラの幼苗やじゃがいもの花などにもよくつきます。
手袋をして指でこすり落とすしかありませんが、栽培数が多いと農薬にたよるのが現実です。
肥料のやり過ぎによる軟弱と徒長を避け、風通しと日照を良くする事が大事です。

・アオムシ     
モンシロチョウの幼虫、葉に小さな穴がいくつか開いていれば必ず葉裏に生まれたばかりの小さな幼虫がいるので見つけ次第捕殺します。防虫ネットも有効です。
キャベツ、カリフラワー、ブロッコリー、大根、かぶ、コマツナなどのアブラナ科の野菜に多くつきます。レタス類は付きません。

・根切り虫   
蛾の幼虫で土中で根を食害したり、夜間根元の茎を食いちぎる厄介な害虫で黒っぽい色をしています。定植した翌朝キャベツの苗がちぎれて転んでいたというように、取り返しがつかない被害を受けます。
被害を発見したら根元の土を掘り返し害虫を探して捕殺します。
多くの野菜が被害を受けますが特にネギ類やホウレンソウの芽だしから幼苗期は要注意です。

・コガネムシ  
幼虫が土中で根を食害するのでこれも根切り虫と言う人もいます。根切り虫より大きく白い色をしています。
いちごの根が好きみたいで、時期的に仮植苗が被害を受けます。
 
・ヨトウ虫   
ヨトウガの幼虫で日中は株元に潜み、夜間地上部の葉を食害する害虫で、食欲は凄まじく、葉がバリバリ欠けていく感じです。
葉裏に産み付けた卵や孵化したばかりの幼虫を駆除すれば一番良いのですが、被害を発見したら株元に潜む幼虫を探して駆除したり、夜間懐中電灯の明かりで活動中の幼虫を捕殺する方法もあります。
キャベツ ブロッコリーなどに被害あり。

・アゲハ幼虫 
ニンジン、パセリなど香りの強い野菜につきます。野菜ではないがミカンなどの柑橘類にもよくつきます。
小さなうちは黒っぽく、大きくなると緑に黒のしま模様となり、オレンジ色の触覚のようなものを出して気持ち悪い匂いがするようになります。
小さいうちでも黒くて以外と見つけやすいので早めに捕殺しましょう。

・アワノメイガ 
トウモロコシの定番害虫で、葉の付け根と雄花の穂茎から侵入して食害を始め実の中に入り食害します。
侵入口は食べかすが出ているので解ります。細い針金で刺殺するか、薬剤を使うしかないです。
雄花の穂の匂いで寄ると言われているので、穂は受粉を終えたら切り取って処分してしまえばリスクは軽減します。
被害を受けた株は跡片付けの際に畑に残さずに処分しないと幼虫が茎内で越冬して翌年の発生につながります。

・ワタノメイガ  
幼虫がオクラの葉を巻いて中に潜みながら葉を食害するケースが多くあります。
丸められた葉をほぐしてみると幼虫が中にいるので簡単に捕まえることが出来ます。
オクラの収穫盛期に発生するので薬剤より捕殺が安全です。 
  
・タバコガ   
トマトやパプリカの実に侵入して食害します。小さな穴が開いているのですぐに解ります被害を受けた実は見つけ次第処分しましょう。

・ウリハ虫   
スイカなどの瓜類に群がる黄色っぽい色の小さな虫で、幼虫は土中で孵り、成虫になると群がって葉を食害します。
農薬以外では手袋をして両手でパチンという感じで捕まえるしかありませんが、スプレーで水をかけると飛べなくなるので捕まえやすいです。

・ハダニ   
高温乾燥期にナスや菊などによく付くハダニは水に弱いので時々強い葉水をかけるのも効果がありますが、殺ダニ剤で計画駆除した方がダニの個体数が減り畑の管理が楽になります。
アブラムシと違い見つけ難い害虫ですが、葉が細かいカスリ状に変色していればハダニを疑ってみましょう。
・ハモグリバエ 
ネギとエンドウに多い。幼虫が葉の中を食害しながら進むので、白い線状の跡が解ります。
農薬以外なら被害葉を取り除くしかないと思います。 

・ナメクジ   
夜軟らかい葉を食害します。ナメクジが這った跡はネバネバした跡があるのですぐ解ります。昼間プランターや鉢の底裏に潜んでいることが多いので時々チェックして捕殺しましょう。
キャベツ、白菜、結球レタスなどの球の中に入られたら食用にならないので、枯れた下葉はまめに取り除き、畑の残渣なども処分して生息し難い環境にしておくことが大事です。

・カタツムリ
小松菜、白菜、山東菜を好んで食害します。昼間日の照る時は株元の土の上にいる事が多いので探して捕まえると良いでしょう。
害虫もナメクジも形跡が無いのに葉に食害の穴が見受けられる時は小さなカタツムリがたくさん発生している事があるので疑ってみる方が良いかもしれません。

・アリ     
アリは根元に巣穴を作るので大敵です。アリの行列を見つけ次第駆除します。アリの駆除は薬剤頼みしかないみたいです。

病害

・うどん粉病  
葉に点々と白いカビのようなものが付き次第に葉一面に粉をまぶしたように白くなる病気で、冷たい雨が降り続いたりすると発生しやすいです。
イチゴ、ズッキーニ、キューリなどに多発しますが、キューリについては抵抗性の強い品種を植えれば比較的発生し難いようです。

・ベト病    
土壌細菌によるものでいろいろな野菜に発生し、葉が病変して株が衰弱する病気です。
特に注意したいのはネギと玉ねぎで一度発生すると土壌に菌が残り、毎年繰りかえし発病して枯れ死しないまでも葉が次々と黄変し生育不良となります。
対策としては被害が出た場所での栽培をを避け、病変した枯れ葉はまめに畑外処分し、農薬で被害を抑えながら土壌の細菌を減らしていくか、もしくは栽培を数年休むかです。

・半身萎凋病  
ナスに多く発生します。生育初期は順調なのに気温が25度前後となり、これから収穫時期と言う頃になると急に発病します。
土壌細菌によるもので水分を吸収する機能が損なわれて葉が黄変し落葉していきます。発病すると株が衰弱し花も咲かなくなります。
最初は葉の真ん中から片側だけが黄変したり株の片側の枝にだけ葉の黄変が発生したりしますが、真夏になると回復する時もあります。対策はベト病と同じです。

以上よくあると言うよりも必ずある病害虫だけ並べてみても、結構敵は多いなと思います。加えて野良猫、カラス、ヒヨドリ、鳩ですから。これらの攻撃から野菜を守り無事収穫ともなれば、喜びはひとしお、趣味としての楽しみや達成感も高まります。
防除方法は無農薬での対応が理想ですが、栽培量が多い場合は露地栽培では限界があると思います。農薬は規定通りに使えば安全であると立証され、国で認可されたものしか販売されていません。畑の環境整備や土づくり、肥料管理輪作管理、接ぎ苗の使用、枝葉の適正管理などで病害虫を出来るだけ抑え込むことは大切ですが、それで対応しきれない時は農薬の使用はやむを得ないと思います。
農薬の使用については食べる間際は嫌だけど生育途中までは使うとか、種蒔きや植え付け前の土壌処理で使うとかの方法もあります。例えばキャベツであれば球が巻いてしまったら外葉は多少青虫に食われても構わないという考え方です。
農薬を使う場合は対象作物、使用時期、希釈倍数、使用回数などが製品ごとに定められおり、容器に細かく記されているので確認してから使うようにすれば安全です。
病害虫を放置すれば、病原菌や害虫が増殖してさらに野菜が作りにくくなり、やがて近隣の畑にも迷惑が及びます。
私は農薬は予防、駆除、治療とも状況に合わせて正しく使えば地域の病害虫環境は良くなっていくと思っています。カラスの場合もしっかり防除してエサ場とならないように気を付けましょう。

よく使われる農薬


ごく一般的に使われているものでホームセンターなどで販売されている薬剤を上げてみました。この他にもメーカー、商品名が違っても同類のものが色々あります。
同じ系統の薬剤の連用は害虫に抵抗性が付いて効かなくなるので、違う系統のものを交互使用した方が有効であり、使用回数制限の観点からも安全です。
家庭菜園で農薬が必要になった時は、これらの薬剤の中から適切なものを選べば十分だと思います。
尚希釈したりするのが面倒な場合や少量栽培の場合はそのまますぐに使えるスプレータイプの農薬も多くの種類が販売されています。

害虫対策用

・マラソン乳剤
水で希釈して噴霧する乳剤です。アブラムシ、青虫、ウリハムシ、ハダニ、ハモグリバエ、ヨトウムシ、カブラハバチ、アザミウマなどの殺虫に使います。
対象野菜ーキューリ、トマト、ピーマン、スイカ、いちご、玉ネギ、ネギ類、レタス、キャベツなどのアブラナ科野菜など広範囲に使えます。

・スミチオン乳剤
水で希釈して噴霧する乳剤です。アブラムシ、アワノメイガ、カメムシ、メイガ類などの殺虫に使います。
対象野菜ー枝豆、インゲン、いちご、トウモロコシ、キューリ、トマト、ナスなど、但しキャベツなどのアブラナ科の野菜には使えません。薬害によつて葉が痛んだりする恐れがあります。

・オルトラン粒剤
主に土壌表土に混和したり、定植の際に植穴に入れて使う粒剤です。アブラムシ、コナガ、青虫、ヨトウムシなどの防除に使います。
対象野菜ートマト、ナス、キューリ、ピーマン、ジャガイモ、枝豆、キャベツなどのアブラナ科野菜などに使えます。

・オルトラン水和剤
水で溶かして噴霧する水和剤です。アブラムシ、コナガ、青虫、ヨトウムシ、タバコガなどの防除、殺虫に使います。
対象野菜ーオルトラン粒剤とほぼ同じです。

・アドマイヤー粒剤
主に定植時の植穴に入れて使う粒剤です。アブラムシの防除に使います。
対象野菜ー枝豆、インゲン、キューリ、スイカ、トマト、ピーマン、ナス、ジャガイモ、菊、アブラナ科野菜などです。

・ダイアジノン粒剤
主に土壌表土に混和して使う粒剤です。ネキリ虫、コガネムシ幼虫、ケラなどの防除、殺虫に使います。
対象野菜ー玉ネギ、ネギ類、ニンジン、いちご、トマト、キューリ、ナス、ピーマン、レタス、アブラナ科野菜などです。

・ネキリエースK
表土に散布する粒剤です。主にネキリ虫、ヨトウムシを誘引殺虫します。ダイアジノンは主に予防防除として、本剤は被害が見られた場所に使用しています。
対象野菜ーネギ類、ニンジン、いちご、枝豆、レタス類、アブラナ科野菜などです。

・ダニ太郎
水で希釈して使う液剤です。ダニの卵から成虫までの殺虫剤です。
対象野菜ーいちご、スイカ、ナス、トマト、キューリ、菊などです。

・カネマイトフロアブル
水で希釈して使う液剤です。各種のダニに対応する殺虫剤ですが、容量も十分なので範囲が広い場合は向いていると思います。
ダニの駆除はスミチオンやマラソンでは効果なくダニ専用の殺虫剤でないと効かないので、注意を要します。
対象野菜ー広範囲な野菜、果樹、花に対応しています。

病害対策用

・ジマンダイセン水和剤
水で溶かして噴霧する水和剤です。ベト病など種々病害予防に効果あります。
対象野菜ーほとんどの野菜が対象になっています。

・ダコニール1000
水で希釈して噴霧する液剤です。ベト病、うどん粉病など種々病害に効果あります。
対象野菜ーほとんどの野菜が対象になっています。

・サブロール乳剤
水で希釈して噴霧する乳剤です。うどん粉病に使います。
対象野菜ーいちご、キューリ、トマトなど。

・ベンレート水和剤
水で溶かして噴霧する粉剤です。他の殺菌剤同様種々病害の他、ナスの半身萎凋病にも効果あります。
苗、球根、種子の殺菌にも使われます。
対象野菜ーほとんどの野菜が対象になっています。

・プレバソンフロアブル5
水で希釈して使う液剤です。散布の他に育苗培土への灌注による長期間薬効が期待できるのでキャベツなどのアブラナ科の野菜の育苗に向いています。
コナガ、アオムシ、ヨトウムシ、タバコガ、アワノメイガ、ハモグリバエなどの防除殺虫に使います。
対象作物ー多くの野菜が対象になっています。

・その他
蟻とナメクジについてもそれぞれに対応した薬剤があります。

野菜の連作障害


野菜には同じ野菜又は同じ科目の野菜を同じ場所で連作すると上手く育たないという性質を持つものがあります。それを避ける為に作付の場所を順次変えながら野菜を栽培する事を輪作と言います。
しかし家庭菜園での限られたスペースの中で連作を回避しながらの栽培計画は容易ではありません。私の場合も連作気味の計画もやむなしという事がよくあります。
対策としては地力を落とさないように、堆肥を一作毎に必ず入れるようにしています。又作付回転を速めて間作にいろいろな野菜を挟めたりする他に連作障害防止剤(土壌改良材)も適宜使います。
そしてナス、トマト苗のように接ぎ苗が入手できるものは全てそれにしています。
連作障害が発生する可能性の程度と同じ場所で作付するまで何年空けるかは概ね以下の通りです。(接木苗除く)

・障害性強く4年位は同じ場所で栽培しない方が良い野菜
トマト、ナス、エンドウ、スイカ、ピーマン、スナップエンドウ(接ぎ木苗を除く)

・障害性あり2年位は同じ場所で栽培しない方が良い野菜
いちご、インゲン、枝豆、カリフラワー、キャベツ、ブロッコリー、レタス、キューリ、じゃがいも

・障害性あり1年位は同じ場所で栽培しない方が良い野菜
オクラ、カブ、シュンギク、チンゲンサイ、ニラ

・連作が可能なもの
 ネギ、玉ネギ、ニンジン、大根、トウモロコシ、ニンニク、コマツナ、サツマイモ

私が連作障害を強く実感しているのはピーマンとエンドウです。接ぎ木苗を使うわけではないので特に注意して数年空けるようにしています。
他の野菜については何年空けるかと言う事よりも前作の終わる時期と後作の土づくり開始時期そして必要スペースがあるかを優先してしまいがちですが、最低1年は空ける事と接ぎ木苗を使う事を心がけています。

・主な野菜の科目
同じ野菜でなくとも同じ科目の野菜は連作障害が出やすい為、注意が必要です。野菜の名前が違うと全く考えが及ばず失敗することが結構あります。

アブラナ科キャベツ、大根、白菜、ブロッコリー、カリフラワー、カブ、チンゲンサイ、コマツナ
ナス科ナス、トマト、ジャガイモ、ピーマン、パプリカ、シシトウ
セリ科ニンジン、パセリ、セロリ、三つ葉
ヒガンバナ科ネギ、玉ネギ、ワケギニンニク、ニラ
キク科シュンギク、レタス、リーフレタス、サンチュ
ウリ科キューリ、スイカ、カボチャ、ズッキーニ、ゴーヤ
マメ科枝豆、インゲン、スナップエンドウ
バラ科いちご
シソ科青シソ(大葉)、赤シソ、バジル
ヒルガオ科サツマイモ
ヒユ科ホウレンソウ
ショウガ科生姜、ミヨガ
アオイ科モロヘイヤ、オクラ
イネ科トウモロコシ

・相性の悪い野菜
輪作計画を立てる上で連作障害の他に考慮しなければならないものに、野菜の相性の悪さです。よく言われている○○を作った後に△△はうまく育たないという事です。
悪い組み合わせはたくさんあるようですが、栽培時期から見てそのような組み合わせになりやすいもの、又わが家で注意している組み合わせは次のようなものです。
冬採りニンジン➡キューリ、キューリ➡春ニンジン、玉ネギ➡冬ネギ、ダイコン➡春ニンジン、トウモロコシ➡ダイコン

種子の保存

家庭菜園の場合、いろんな種類の野菜を育ててみたいが、少量栽培の為に種子がいつも余ってしまい、もったいないということが多々あると思います。そういった場合保存を考えてみましょう。
野菜の種は以外と長く保存できるので、余った種は袋の口を2回ほどしっかりと折りセロテープで密閉して表面がビニールコーテングされた紙袋にいれて冷蔵庫の野菜室に保管します。
このような紙袋が無ければ新聞紙でくるみ、タッパーかチャック付きのビニール袋にいれて冷蔵庫の野菜室に保存します。これで十分持ちます。

実例としてはこんな感じです
 セロリ    7年間で7回種蒔き         カリフラワー 5年間で5回種蒔き 
 ブロッコリー 5年間で5回種蒔き         結球レタス  4年間で8回種蒔き
 白菜     4年間で4回種蒔き         キャベツ   3年間で7回種蒔き

以上は実際に使い切った迄の実例で、まだ残っていたとしたら年数は増えていたかもしれません。
この他の野菜についてはほぼ年内か翌年中には使い切りますので実例として長期間の保存経験はありませんが、翌年位までならば問題なく発芽しています。
種子寿命が短いとされるネギも翌年蒔いても新しい種と比べてまったく遜色ありませんでした。
種子の保存で気を付けたいことは、使う際に冷蔵庫から長時間出しっぱなしにせず出来るだけ早く戻すことです。
保存種子の一覧を作っておけば保存してあるのに買ってしまったということも防げます。一覧表にはメーカー名、品種名など気になるデーなども書き留めておくと、次に買う時の参考にもなります。
尚玉ネギ、ホウレンソウは新しい種もしくは年内使い切りが良い気がします。

プランターの活用とスペースの有効利用

紙袋の口を2回ほどしっかりと折ってからセロテープで密閉し、ビニールコーティングされた紙袋に入れて冷蔵庫で保管します。乾燥材などは特に使っていませんが、種袋には買った時期をマジックで書いておくようにしています。

家庭菜園ではスペースの関係上、多くの種類の野菜を作ることと連作の回避を図ることが難題ですがプランター栽培も併用していけば、解決できることがいっぱいある上に新たな楽しみも増えてきます。
畑、プランターとも一長一短ありますので、長所を生かしながら活用したいものです。

プランターの長所と短所
・プランターに適した小型品種の野菜も多くなってきており、栽培できる野菜は数多い
・プランターを上手く運用したり、用土を入れ替えれば連作障害の心配が無い
・病害や土中害虫による被害リスクが少ない
・種類や季節によって移動が簡単
・身近に置いて毎日観察しやすい。テラスやベランダどこでも置ける
・手入れや収穫もまめに出来る
・土の跳ね返りによる作物の汚れが無い
・用土を買う必要がある
・日々の水分観察が必要、しかしこれが楽しいと思う人も多い

畑の長所と短所
・根の張るスペースが広いので大きく育つ、又大型野菜に向いている
・水はほとんどやらないで良い
・連作障害を考慮した輪作計画が必要、場合によっては日当たりなど不満足の場所になることも
・病気によっては土壌に細菌やウイルスが生存して次の作付にも影響を及ぼすことがある。

スペースの有効活用
・立体的に活用
プランター置き場を棚にして、棚下は空きプランターや用土調整中のプランターなどの置き場に使う。エンドウやインゲンなどの蔓ものを軒下に誘因したり、スイカなどの空中栽培で平面を節約する。

・プランターの形や大きさを統一する。
3種類位に統一すれば、空きプランターの場合は重ねて保管出来ます。尚プランターの縁をプラスチックダンボールなどでかさ上げすれば、深型プランターとしても代用できます。

・直まきせずに育苗して定植する。
ポットなどで育苗してから定植すれば、直蒔きよりもプランターや畝での栽培期間が短くできるので栽培計画が楽になります。
キャベツ、ブロッコリー、ハクサイ、レタス、セロリ、枝豆など数多くの野菜がこの方法で栽培出来ます。

・スジ蒔きの向きを変える
畝にスジ蒔きする時は溝の向きは畝の長手方向に平行とするのが一般的ですが、直角方向とすると蒔き溝が多くとれて種を多く蒔くことが出来ます。
土寄せなど作業性は多少悪いですが、鍬の代わりに移植ごてを使えばできます。短い畝でもたくさん収穫できますので狭い菜園にはお勧めです。
わが家ではコマツナ、ホ ウレンソウ、ミズナ、シュンギク、チンゲサイなどの葉物やネギの苗など全て直角溝です。

・1畝に定植する列数を増やす
多少畝幅を広くしても1畝で2列植えにした方が、1列植えで2畝を用意するよりも畝間のスペースが要らない分だけ省スペースになるという考え方です。
白菜、キャベツ、レタス、ニンニク、玉ネギなどに応用できます。

スイカやゴーヤなどは通路を利用して棚づくりにすれば、省スペースとなるばかりでなく、見た目も楽しくなります。

スペースの有効活用とは直接は関係ありませんが、栽培計画をしっかりつくっておくことも大事です。うっかり忘れて時期を逃してしまうことが良くあるからです。
作付図は次の種蒔きや植え付けと関連するので、例えば秋作を準備する段階には翌年1年分は作っておくとか、早めに作っておいた方が間違いが起きません。
作業予定表を作る時は石灰や元肥入れ、種蒔き、定植、収穫などの期日が昨年と予定そして今年の実行日が解るようにしておくと参考になるデーターが残り役立ちます。
わが家ではこんなことを試行錯誤しながら毎年繰り返しているうちに畝もだいぶ効率良く回転できるようになりました。栽培計画は小スペース多品種栽培には必須なものとなっています。

プランター用土の再利用

プランターの数をもっと増やしていろいろな野菜を作りたいと思っても、数が増えれば用土もたくさん必要となり、一回ごとに買っていれば費用的にも大変です。又古土を廃棄するのも簡単ではありません。無理なく家庭菜園を楽しく継続していくには、用土の再利用は欠かせません。


そのまま再利用する
一度使った用土は野菜が元気よく育つ条件が著しく低下していますのでこれを改善してやる必要があります。

・排水性と通気性の改善
排水性と通気性を出来るだけ悪化させない為に、前作を処分する時は引き抜いた根鉢はプランターの中で叩いたりせずに、ある程度水分が飛び土が落ちやすくなるまで乾燥させます。
その後プランター外で土を落とし、土はフルイで薇塵と細根などを取り除きプランターに戻します。
不足になった分は新しい用土か再生用の用土で補います。赤玉土7腐葉土3の割合のもので補っても良いでしょう。
根株の土をプランター上で無理に叩くと土が更に細かくなり細根がちぎれて混じり面倒です。少し乾燥させてから振動を与えながら落とします。

・用土の調整
次の野菜を栽培する前に、苦土石灰、堆肥、化成肥料などを使い用土を調整します。
土中害虫や蛹などの有無もチェックしておきますが、前作でヨトウムシや根切り虫の被害を受けた時は特にに要注意です。
しばらく休ませるプランターならばオルトランやダイアジノンで予防的な処理をしておく方法も良いと思います。

再生して再利用する
用土をプランターから取り出し、ブルーシートの上などに広げて乾燥と日光消毒をした後にフルイで微塵とゴミを除きます。
プランターに戻して再利用する時は、不足分の補充と用土の調整はそのまま使う 時と同様に行います。

栽培計画の立て方

野菜の栽培計画は大きく分けて作付場所の計画作業の予定計画の2つあると考えています。
どちらも野菜を栽培する中で重要となる輪作を考慮しながら計画しますので、少なくとも翌年の事まで視野に入れて計画する必要があります。
特に家庭菜園では限られたスペースを有効に使って出来るだけ多くの種類の野菜を作りたい訳ですから栽培計画はとても重要かと思います。

1.作付予定
どの場所に何を作るかという予定ですが、 畑の場合は輪作計画も含まれているという事になります。
具体的には作付図を作るという事になりますが、 プランター菜園であっても栽培計画が予定図として目に見える形で作ってあれば解り易くなるという利点があります。

2.年間の作業予定
具体的にいつの時期に何の野菜を作るのか、そして土づくりから始まって収穫を終えて後を片付けるまでの種々の作業を何時行うかの予定です。
表にしておけば見やすくて、うっかり忘れることもなく作業もスムースに行えます。

作付予定図

初めて作付予定図を作成する際は年間の作業予定の作成と同時進行で、照らし合わせながら考えなければならず多少苦労します次からは前の記録が残っているので次第に簡単にできるようになります。

1.作成の前に
・栽培出来るスペースを確認する
当たり前のことですが、畑なら畝数や長さなど、プランターなら実際に配置出来る数を確認するなどして栽培可能なスペースを確認します。


・作りたい野菜、 作りたい量をリストアップ
何と言っても自分の作りたい野菜を一番に、 必要量とも考え合わせて、とにかくリストアップしてみましょう。

家庭菜園では作り過ぎても処理しきれないので、1品種については必要な量だけに留め、出来るだけ多種類の栽培をした方が趣味としても面白くなり、自給自足の面でも貢献度が高まると思います。

・作型をチェック
リストアップした野菜の作付時期をチェックし、それによって栽培可否の判断や修正を行います。


2.作成時に考慮すること
・連作障害
同じ野菜や同じ科の野菜を連続して同じ場所に栽培すると、種々の病気にかかったり、害虫の被害にあいやすくなって野菜が思うように育たなくなることを連作障害と言います。

原因は同じ仲間の野菜は栄養素の吸収が似通っているために、土壌中の肥料の成分が偏って不足する為と、その野菜を好む病原菌や 害虫が増殖するからだと言われています。
その為作付予定図を作る時はこれから作る野菜のみならず、後作や翌年の作付をも考慮する必要があるわけです。
連作障害にはその性質が強く3-4年は同じ場所で作れないものから連作が可能なものまで野菜によっても違います。

相性の悪い野菜
野菜によっては同じ科の野菜でなくても組み合わせによっては連作障害のように上手く育たないというものもあるので、作付予定図を作る際はやはり考慮が必要となります。
尚野菜には逆に相性の良い組み合わせがあったり、混植すると互いに成長を助け合ったり、害虫が寄り難いというものまであります。
これをコンパニオンプランツと言いますが、アブラナ科の野菜にレタスを植えるとアオムシが付かないとか周りにマリーゴルドを植えておくと害虫が寄らないなど多くの組み合わせがあるようです。
わが家の菜園でもキャベツとレタスの組み合わせで試して見ましたが、モンシロチョウがキャベツを見分けてしっかりと卵を産みつけていたので、100%は頼れない気がします。
効果があったのではないかと思っている事例はナスにニラを混植したらナスの半身萎凋病の被害が軽微で済んだことです。これからも色々試してみたいと思っています。

尚連作障害などについて、以下のサイトでは絵表示を使い大変解り易く説明されています。
www.nanbahc.co.jp/rensaku_syougai.html
連作障害については当ページの野菜の連作障害の中でも紹介しています。

・日当たりを考慮
野菜はそれぞれ成長後の草丈が違うので、背の高くなる野菜を日の差す手前に植え付けてしまうと後ろの野菜への日照が悪くなり上手く育ちません。
又野菜は強い日照を好むもの,それほどではないもの、半日蔭が好きなものと種類によりいろいろです。

以上が作付予定図を作る上での重要な事となりますが、全てクリアした作付図を毎年作り続けることは、正直なところ非常に難しい面もあります。
それでも限られたスペースで何とか多種類の野菜を継続して栽培して行けるのは作付予定図と予定表を作っているおかげと思っています。

3.作付予定図(輪作計画)を考える上での問題点
輪作を正確に行うためには畑を数区画に分けて、そこに栽培する野菜群を割り当て、1年ごとに作る区画を移動する事のようです。
例えば4区画に分けたならば、同じ野菜群は5年目に、つまり3年空けて同じ場所に戻って来るという訳です。
しかしわが家に於いてはこれが実際には非常に難しく、出来ていない理由には以下のような事があります。
・作りたい野菜の科目に偏りがある
家庭菜園ではトマト、ナスなどナス科の野菜が占めるスペースが多く、小スペースで間に合う葉物野菜などと単純に輪作できない。

・多めの作付をしたい野菜がある
玉ネギ、ダイコン、ネギ、ジャガイモなどは保存もでき、又おすそ分けもしたいので多めに作付したい。この場合もやはり小スペースで済む野菜との輪作に無理がある。
基本的にたくさんの畝を使う野菜を含む野菜群を割り当てられる区画を4区画も作るスペースが無い。

・畑の場所により日照条件が異なる
時間帯によっては家の陰になる場所があり、そこではどうしても作落ちするので作付したくない野菜もある。

4.わが家の菜園での連作障害対策
前述のごとく理想通りの輪作計画を正確に行う事は現実的に難しいので、不本意ながら以下のような対策を講じながらやっています。

・接ぎ木苗を使う
連作に強い台木に苗を接ぎ木したもので、連作も可能な苗です。自根苗より多少高価ですが、狭い菜園ではやむを得ない選択です。ナス、トマト、キューリ、小玉スイカなどで使っています。
接ぎ木苗でも出来る限り1年程度は空けるようにしていますが、やむを得ず連作という場合もあります。

・堆肥を使う
牛糞もみがら堆肥を一作ごとに必ず使うようにしています。この他に敷き藁や落ち葉などを腐熟させたものも使います。
地力の維持向上と連作障害の防止に役立っていると思います。

・土壌の改良
連作防止剤(土壌改良剤)を適宜使用して土壌中の微量要素の欠乏が生じないように注意しています。

・間作を行う
畝の使用回転を高めて野菜の種類を増やしつつ連作の影響をも軽減させる。例えば早春の葉物野菜➡夏の枝豆➡秋の白菜というような方法では1年間で3作栽培出来ます。

・収穫終了後はすぐに耕起する
収穫は早めに終わらせてすぐに耕起することで残り根や敷き藁を早く腐熟させて土になじませ、又寒中であれば耕起することで害虫や病原菌の減少も期待できると言われています(寒起こし)。
片付けずに放置しておくと、越冬することのできる野菜は春になり根がはびこり元気を出して花まで咲いてしまいます(シュンギクなど)。
早めの整理、スタンバイが作付計画を楽にして連作障害防止にも効果があるのではと思っています。

・なるべく深く耕す
耕土が深ければ野菜の根もしっかり張ることが出来るので耕起は深めにすることを心掛けています。深めに耕すことで下層部の土も次第に野菜栽培に適した土に変わっていきますので、結果として地力が向上します。
尚天地返しと言ってスコップを使い上層部と下層部の土を入れ替えると連作障害を防止したり病害虫の被害を軽減できます。

・土を入れ替える
生姜は西日が当たらない半日蔭の場所が適しているので適切な場所が限られてしまいます。そのような時は他の畝の土と入れ替える方法もあります。
一つの例ですがわが家のように少量栽培ならではのやり方です。

・要注意の野菜
ピーマンとパプリカは自根苗を使っているので特に注意をして連作とならない場所に植え付けています。1本づつしか必要ない為場所はとらないのですが、いつまでも収穫が終わらず結構邪魔になるので、そのへんも良く考えておかなければなりません。
スナップエンドウも連作障害が強く出る上に丈も高いので隣の野菜の日照にも気を付けなければならず、場所選びも苦労しています。

作業予定表

わが家では年間作業カレンダーという形で1年分の作業などをまとめており、種々の作業の予定月日を始め野菜の生育段階と畝の使用期間を解り易くしています。
これが無いとウッカリ忘れが多くなり、適切な時期に作業するのは難しい気がします。最初だけ少し面倒くさい気になりますが、次年度からは元が出来ているので、野菜の種目の加減と多少の修正をする位で簡単に出来るようになります。
カレンダーで管理している作業項目は次の通りです。
1スタート月日
各野菜の作型ごとに何月何日にスタートするかという予定日で、直蒔きの野菜であれば土づくりの最初の作業である苦土石灰を入れる日となり、育苗してから定植する野菜ではポットなどに種蒔きする日になる場合もあります。忘れ難いようにスタート月日という独自の項目を作っています。
予定日、昨年実行日、今年実行日とあります。

2石灰
苦土石灰を入れる日です。予定日、昨年実行日、今年実行日とあります。

3元肥
堆肥や化成肥料を入れる日です。予定日、昨年実行日、今年実行日とあります。

4種蒔き
種を蒔く日で、畝に直蒔きするのかポットなどの容器に蒔くのか分るにしています。予定日、昨年実行日、今年実行日とあります。

5定植
苗を定植する日です。予定日、昨年実行日、今年実行日とあります。

6初収穫
初収穫の日です。予定日、昨年実行日、今年実行日とあります。

7最終収穫
最後に収穫した日です。わが家では基本的にこの日に根も片付けて畝を耕起しておきます。急ぐ時はこの日に後作の為の石灰を入れることもあります。予定日、昨年実行日、今年実行日とあります。

実際の輪作状況

それでは実際のわが家の輪作はどんなことになっているんでしょうか。3年分ほど並べて見ただけでかなり際どい計画や完全に連作なんてのもあります。
又玉ネギなど複数の畝に栽培している野菜が離れ離れという場合も見受けられます。
一生懸命に考えてもやはり前述の理由で簡単にはいかない事が表れています。それでも長い間特別に不出来という事も無く、作り続けていられるのは、さまざまな対策の効果ではないでしょうか。
輪作の悩みをお持ちの方には、いろいろ試して見る事をお勧めします。尚表中の赤字で記してあるスイカの後作のホウレンソウが2年続けて出来が良くありませんでした。何が悪いのか再挑戦してみます。

令2年 令3年 令4年計画
1-1 ナス、ピーマン 通路 通路 通路 通路 通路
2-1 枝豆
スナップエンドウ
ニンニク
スナップエンドウ
ニンニク
秋キャベツ
カリフラワー
レタス イチゴ苗
⇒冬越し春キャベツ
3-1 枝豆 玉ネギ 枝豆奥手 冬越し春キャベツ オクラ ニンニク
冬越し春キャベツ
4-1 春蒔きキャベツ カリフラワー
ニンジン
カブ
さつまいも仮植苗
イチゴ苗
  ⇒玉ネギ
玉ネギ 白菜
5-1 葉菜セット ブロッコリ 冬ネギ苗 ニンジン シソ
ニンジン
白菜
6-1 早春葉菜セット
⇒オクラ
カブ
冬越し春キャベツ
オクラ 玉ネギ 玉ネギ 玉ネギ
7-1 ニンジン
シソ
冬キャベツ シソ
春ニンジン
ロマネスコ
ブロッコリー
ジャガイモ 冬ネギ
8-1 カブ⇒モロヘイヤ
  冬ネギ苗
冬越し春キャベツ
冬キャベツ
枝豆 白菜 ジャガイモ 冬ネギ
9-1 春キャベツ
  ⇒枝豆
白菜 ジャガイモ 冬ネギ ジャガイモ 冬ネギ
10-1 レタス、ズッキーニ 白菜 ジャガイモ 冬ネギ ジャガイモ 冬ネギ
11-1 枝豆 ダイコン ジャガイモ 冬ネギ 春蒔きキャベツ ダイコン
12-1 玉ネギ ダイコン ジャガイモ 冬ネギ 枝豆 ダイコン
13-1 玉ネギ ダイコン 春蒔きキャベツ ロマネスコ 枝豆 ダイコン
14-1 枝豆 ダイコン ナス 玉ネギ 玉ネギ
⇒枝豆
ダイコン
1-2 トマト、キューリ 玉ネギ 玉ネギ ブロッコリー ナス  
2-2 トマト、キューリ イチゴ苗 トマト 白菜、山東菜
ホウレンソウ
早春葉菜セット
⇒枝豆
カブ
カリフラワー
3-2 玉ネギ ニンジン トマト 白菜
ニンニク
カブ
ニンニク
冬キャベツ
4-2 ジャガイモ 冬ネギ ズッキーニ
レタス
ダイコン トマト 玉ネギ
5-2 ジャガイモ 冬ネギ 枝豆 ダイコン トマト 玉ネギ
6-2 ジャガイモ 冬ネギ 早春葉菜セット
  ⇒枝豆
ダイコン 冬ネギ苗 ニンジン
7-2 ジャガイモ 冬ネギ 枝豆 ダイコン ピーマン、パプリカ
春ブロッコリー
スナップエンドウ
ニンニク
8-2 夏ネギ トウ菜
川流れ菜
⇒インゲン
⇒キューリ
トウ菜
川流れ菜
⇒キューリ
⇒インゲン
トウ菜
川流れ菜
9-2 トウ菜、川流れ
⇒バジル、冬ネギ苗
通路 通路 通路 通路 通路
A コーン ブロッコリー
ロマネスコ
コーン 秋キャベツ
冬キャベツ
コーン 秋キャベツ
ブロッコリー
B コーン、山東菜 秋キャベツ コーン、ピーマン
パプリカ
カブ
スナップエンドウ
コーン
スナップエンドウ
ブロッコリー
ロマネスコ
C 生姜 生姜 生姜 生姜 生姜 生姜
D 冬越し春キャベツ
 ⇒インゲン
レタス 春ブロッコリー シュンギク
レタス
ズッキーニ レタス
E サツマイモ 玉ネギ 玉ネギ
  ⇒サツマイモ
玉ネギ 玉ネギ
  ⇒サツマイモ
玉ネギ
①-1 スナップエンドウ 通路 通路 通路 通路 通路
②-1 ナス イチゴ イチゴ イチゴ イチゴ イチゴ
③-1 トマト
イチゴ
イチゴ イチゴ イチゴ イチゴ イチゴ
④-1 ニンニク 秋冬コマツナ
冬ミズナ
ナス 冬コマツナ
冬ミズナ
ナス 冬コマツナ
冬ミズナ
⑤-1 小玉スイカ ホウレンソウ 小玉スイカ ホウレンソウ 小玉スイカ ホウレンソウ
①-2   イチゴ イチゴ     イチゴ
②-2 ジャガイモ 山東菜
チンゲンサイ
モロヘイヤ 山東菜
チンゲンサイ
ホウレンソウ 山東菜
チンゲンサイ
③-2 ジャガイモ
玉ネギ
秋コマツナ 夏ネギ
チンゲンサイ
コマツナ チンゲンサイ
モロヘイヤ
コマツナ
④-2 玉ネギ 秋ミズナ
秋シュンギク
山東菜
コマツナ
秋ミズナ
シュンギク
夏ネギ
コマツナ
ホウレンソウ
シュンギク
⑤-2     ホウレンソウ
コマツナ
トウ菜苗
川流れ菜苗
山東菜
サツマイモ仮植
 

こうやって見ると畝数は結構あるように見えますが、畝の長さはとても短く、実際はまさに少量多品種栽培となっています。
畝幅も畝間も農家さんのように広く取れない為、しゃがんだりするとお尻で隣の畝の野菜を痛めるなんてこともよくあります。
ちなみにコマツナなどの葉物野菜などは1~1.5メートル程度の長さしか作りませんが、いろいろ作っていると家庭では結構余り気味です。
表中にある葉菜セットはホウレンソウ、コマツナ、チンゲンサイになります。
ゴーヤ、食用菊、アスパラ、ニラ、ミヨガなど日照と輪作の邪魔になりやすいものは畑の周りなどに少量植えて楽しんでいます。

※以上取り留めのないような説明かと思いますが、家庭菜園を始めるにあたっての基礎知識をわが家の例をもとにネットや実用書などからの情報も参考にまとめてみました。誤りがありましたらご容赦ください。