晩秋に種を蒔きトンネル内で小苗で越冬させます
家庭菜園向きのスナップエンドウの育て方をわが家の家庭菜園を例に紹介しています。
種を晩秋に露地蒔きし、小苗を冬越しさせて、春に収穫するやり方でが、冬の間は雪や霜から守る為トンネルで保護します。3月末頃雪害や寒害の心配が無くなったら、トンネルを取り除き、支柱を立てて蔓を誘引し、収穫は5月中頃です。
春蒔きや春に苗を植え付ける方法もありますが、晩秋に蒔いて冬を越して春を待つと言う形が一般的で、草勢強くたくさんの実を着けます。春本番を感じさせてくれる楽しみな野菜の一つです。
/AomusiGarden
スナップエンドウの基本情報
マメ科、適応土壌酸度PH6.5-7、連作(4年程度空ける)発芽適温15-20℃、生育適温15-20℃
日照-日向
非常に寒さに強く5℃以下でも発芽し、幼苗の場合-3℃位までは枯れない為晩秋蒔きの冬越し、翌春収穫という型が当地では一般的です。
スナップエンドウの栽培時期 (わが家の作型)
11月中旬に種蒔きし、翌年の5月上旬から約1ヶ月間収穫出来ます。
基本的に晩秋蒔きですが、春蒔きも可能です。しかし春蒔きは草勢、収量ともに劣るため当地では一般的ではありません。
秋蒔きを失敗した場合のリカバリー策として、冬に室内で育苗してトンネル保温した畝に定植すれば、春蒔きよりは良い株に成長します。
スナップエンドウの育て方 – 栽培のポイント
わが家流スナップエンドウの家庭菜園向きの栽培ポイントです。
1.種まきは適時に
年内に大きな苗に成長すると越冬が難しくなるので、発芽して10㎝以内の苗で越冬するように、種まき時期を定めます。早過ぎる種蒔きは苗が大きくなってしまいます。
2.雪害、霜外対策
雪や霜で弱ったり、枯れたりしないように、トンネルで保護します。寒さには強いので、トンネルの裾はめくったままにしておきます。
雪の盛りの時期は除雪しないとトンネル自体がつぶれるので要注意です。
3.支柱建ては春に
春になったらトンネルを取り払い、支柱を立ててネットを張ります。ネットは一般的な蔓ものの誘引ネットが便利です。
もしもトンネル撤去前に大きくなったときはトンネル内に短い支柱を立てて誘引しておけば良いでしょう。
4.元肥は多肥を避け、リン酸を補足
豆類ですので窒素肥料の与え過ぎないようにし、リン酸を重視して補足します。
5.連作厳禁
スナップエンドウは連作障害が強く出る性状を持っているので、必ず数年はスナップを作っていない場所で栽培しなければなりません。
6.鳥害対策
昨今はカラスによる食害に困っています。初成りの頃を狙ってくるとはカラスも色々学習しているようです。
蔓ものなので網を張っても網に蔓がからみつくので防鳥糸や防鳥テープなどを張って対処しています。
栽培手順
準備するもの
①苦土石灰
雨で酸性に傾きやすい土壌を、アルカリ性の苦土石灰を混入することで酸度の調整をします。又苦土石灰はカルシュームとマグネシュームの補給にもなり、これら微量要素の欠乏による生育不良を防止します。
苦土石灰は粉状と粒状があり、粒状のものが、風に飛ぶこともなく、使い易く健康的なので家庭菜園では多くの人が使っています。
石灰にはこの他に消石灰と有機石灰があり、それぞれの利点もあるのですが当面この苦土石灰があれば何も不足する事はありません。
②化成肥料
窒素N、リン酸P、カリKの含有量がそれぞれ12前後のバランスのとれた配合で元肥と追肥の双方に使えるとの表記のある化成肥料が色々な野菜に使えて万能で便利です。
化成肥料は一般的に肥料成分が多く肥効が強い為経済的ですが、反面与え過ぎと根に直接触れるような施用は作物を傷める事があるので注意が必要です。
その為種蒔きや定植の1週間前までには施用して土とよく馴染ませておく事が基本です。尚化成肥料は本来即効性ですが製品によりゆっくり効く加工を施して元肥にも使えるものがあります。
③堆肥
遅効性の肥料ですが、土壌中の有用微生物の増殖を助けて土をふかふかにして水はけを良くして地力の維持向上にも役立ち、又連作障害の軽減にも有効とされています。
肥料成分はそれほど高くない為、過不足による直接的な影響は少ないですが、土壌の健全性を保ちながら長く野菜を栽培する為には毎作ごとに施用した方が良いと思います。
牛糞など動物性のものに植物由来の素材を配合した色々な製品が販売されているので、使い方と施肥量をよく確認して使用します。
尚堆肥だけでは野菜が成長する養分を賄えないので、普通は化成肥料と併用して使います。
④スナップエンドウの種
スナックエンドウと称して売られている場合もありますが同じものです。蔓なしと蔓あり種があります。わが家のまわりでは蔓ありが多く作られています。
つるありあまいえんどうの種、あまくて美味しいエンドウです。わが家の家庭菜園では5~6ヵ所に4粒づつ蒔いて栽培する程度なので翌年も使えます。
土づくり
連作を特に嫌いますので、必ず数年空けた場所で育てます。
①苦土石灰の混入
種蒔きの2週間前迄に鍬で土を良く耕して苦土石灰を混入しておきます。
苦土石灰の量は1㎡当たり150gとします。多めに施す気持ちで良いと思います。
②元肥入れと畝立て
種蒔きの1週間前に元肥として化成肥料と堆肥を入れ畝を整えておきます。
畝幅は60㎝とし、板で平に均しておきます。凹凸があると水が溜まったり、表面湿度のムラなどで発芽や生育が不揃いになる原因となります。
化成肥料の量は1㎡当たり70gとしますが、使う化成肥料の成分と前作の残肥を考慮して加減する場合もあります。エンドウは肥料が効きすぎると茎葉だけ繁って実着きの悪い蔓ぼけと言われる状態になります。ヨウリンなどの単肥でリン酸分を補えば花つきがよくなります。
堆肥は製品により原料と成分が異なるので施す量は一概に言えませんが、毎作ごとに施している畑では、費用面からも多少は少な目でも良いと思っています。
わが家の場合は何を栽培するにしても毎作ごとに牛糞もみ殻堆肥を3㎡当たり中くらいの角スコップで軽く5杯程度と少な目ですが土の状態は健全に維持されているようです。
尚わが家では堆肥の量は野菜を問わずほぼ同量とし、施肥量は化成肥料の量で加減しています。
スナップエンドウの元肥の入れ方は畝全体に混和する全面施肥としています。
マルチング
冬の凍害から守り、春の成長促進の為に黒マルチを畝に張っています。栽培期間を通して雑草が生えないので不要な手間がかかりません。もみ殻を敷くこともあります。
種蒔き
①マルチに穴を開ける
穴開け器を使いマルチに株間30㎝として穴を開けます。
②種を蒔く窪みをつくる
瓶の底などを畝に押し当て深さ1㎝の窪みを作ります。
③種を蒔く
窪みの中に3-4㎝の間隔で種を4粒蒔きます。余った種は翌年も使えるので保存しておきます。
④覆土する
1㎝位の厚さで種に土をかけ(覆土)たら手の平で軽く叩くようにして表面を押さえる。
⑤水をやる
とくに乾いている場合はジョーロを使い優しく水やりして種蒔きは終了です。
この時季になると過乾燥することは無いので、以後水をやることはありません。
保温
エンドウは本来寒さには強いのですが、発芽間もない幼苗が凍害を受けたり雪で痛まない様に、トンネルで覆います。
トンネルのビニールは冬期間も裾を上げておくか、上部に空気穴を開けて温度はあまり上がらない様にしておきます。
3月末になり雪の心配も無くなり気温が安定して来たらトンネルを取り払って支柱を立てます。
間引き
トンネルを取り払い、支柱を立てて誘引を始める際に元気の良いものを1か所2本残して間引きします。間引きのやり方は鋏で切り取った方が、他の株の根を傷めずに済みます。
収穫
5月~6月が収穫期です。毎日観察して気に入った大きさのもの収穫します。
スナップエンドウはサヤエンドウと違い大きくても皮が軟らかいので多少大き目の方が豆の味もしっかりして美味しいかもしれません。
手入れ
※追肥
春間引きした際にマルチをめくり畝の両肩に1株あたり半握り程度の化成肥料をあたえます。施肥後マルチは元通りにしておきます。
※病害虫
ハモグリバエが発生すると葉の中を食害しながら進むため、外から見ると葉に白く落書きしたような跡がたくさん目につくようになります。余程ひどくない限り枯死したりしないし、収穫は出来ます。
どうしても押さえたい場合は薬剤による予防措置又は駆除が必要です。
うどん粉病が希に発症しますが、連作を避けて水はけ良く育てて発症を回避します。症状が観られたら、薬剤による早期防除につきます。
病害虫と対策、農薬についてはこちらをご覧ください
※支柱
畝の両側に斜めに支柱を立てて上部を畝の真ん中で縛り留める合掌型にするのが一般的ですが、こだわる必要はありません。
わが家では畝幅が狭い為、支柱の上部は開かせて、少しでも蔓が絡み合わないようにしています。尚支柱を組んだら、市販の誘引ネットを張ればさらにしっかりします。支柱の長さは1m80㎝程度は必要です。
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