畑のスペース節約の為に棚に蔓を誘引する吊玉空中栽培です
家庭菜園向きの小玉スイカの育て方です。連作障害回避の為、接木苗を購入して定植します。省スペースの為、棚に蔓を誘引する空中栽培と言われるやり方です。
小玉スイカは皮が薄く多雨で割れやすいので、畝は高畝にしてマルチングを張り、加湿にならないようにします。うまく着果させるには芽摘みや剪定、人工授粉を行います。
大玉スイカに比べ冷蔵庫にも入れやすく食べごろサイズの小玉スイカは今人気です。玉も小さくて軽い為、吊玉にしての空中栽培にも向いています。
/AomusiGarden
小玉スイカの基本情報
ウリ科、適応土壌酸度PH6-6.5、連作(4年程度空ける)、発芽適温25-30℃、発芽可能15℃~
生育適温25-30℃、日照-日向
適応酸度がやや高めなので、石灰はやや多めに施します。
小玉スイカの栽培時期 (わが家の作型)
小玉スイカは発芽に高い温度を要する為に加温設備が必要なことと、連作障害を起こさないように接木苗を使いたい為に自家育苗はあきらめて苗は購入します。
4月末から5月初めに苗を植え付け、7月下旬~8月中旬にかけて収穫します。
小玉スイカの育て方 – 栽培のポイント
家庭菜園ならではの、小スペースで育てる、小玉スイカ栽培のポイントです。
1.苗は接ぎ木苗を使う
いつも同じ場所での栽培のため、必ず接ぎ木苗を使います。
2.黒マルチを張った高畝に植え付けて栽培
地温を上げることと、水はけを良くする為に栽培する畝は高く盛り、さらに黒マルチを張ります。
長雨で加湿になると、成長中のスイカの実が割れることがあります。
3.省スペース、空中栽培
棚にスイカの蔓を誘引する空中栽培なら、棚下は通路などで使うことが出来ます。
4.1株3本の子蔓で仕立て
親蔓を摘芯し、芽吹いた子蔓3本を誘引しながら育て、1蔓につき2個の着果を目指しています。
5.2番果も楽しむ
人口受粉して目標数を着果させた後に、孫蔓などに自然に着果します。草勢を維持して育てれば、2番果も楽しめます。
いつも間が空いてから着果するので、わが家では勝手に2番果と言っているだけです。
栽培手順
準備するもの
①苦土石灰
雨で酸性に傾きやすい土壌を、アルカリ性の苦土石灰を混入することで酸度の調整をします。又苦土石灰はカルシュームとマグネシュームの補給にもなり、これら微量要素の欠乏による生育不良を防止します。
苦土石灰は粉状と粒状があり、粒状のものが、風に飛ぶこともなく、使い易く健康的なので家庭菜園では多くの人が使っています。
石灰にはこの他に消石灰と有機石灰があり、それぞれの利点もあるのですが当面この苦土石灰があれば何も不足する事はありません。
②化成肥料
窒素N、リン酸P、カリKの含有量がそれぞれ12前後のバランスのとれた配合で元肥と追肥の双方に使えるとの表記のある化成肥料が色々な野菜に使えて万能で便利です。
化成肥料は一般的に肥料成分が多く肥効が強い為経済的ですが、反面与え過ぎと根に直接触れるような施用は作物を傷める事があるので注意が必要です。
その為種蒔きや定植の1週間前までには施用して土とよく馴染ませておく事が基本です。尚化成肥料は本来即効性ですが製品によりゆっくり効く加工を施して元肥にも使えるものがあります。
③ヨウリン
く溶性リン酸を20含む肥料で、苦土とケイ酸も含みます。アルカリ分も20%あり、主に果菜類の実付を良くする為に、元肥として使われます。
④堆肥
遅効性の肥料ですが、土壌中の有用微生物の増殖を助けて土をふかふかにして水はけを良くして地力の維持向上にも役立ち、又連作障害の軽減にも有効とされています。
肥料成分はそれほど高くない為、過不足による直接的な影響は少ないですが、土壌の健全性を保ちながら長く野菜を栽培する為には毎作ごとに施用した方が良いと思います。
牛糞など動物性のものに植物由来の素材を配合した色々な製品が販売されているので、使い方と施肥量をよく確認して使用します。
尚堆肥だけでは野菜が成長する養分を賄えないので、普通は化成肥料と併用して使います。
⑤小玉スイカの苗
小玉スイカの苗は4月末から5月の始めにホームセンターなどに出回りますので時期を見て購入します。連作障害防止の為必ず接木苗を使います。良く売られているのは紅小玉、黄小玉や皮の黒い品種などです。
いろいろ作って見ましたが、縞模様と中が赤い紅小玉が一番スイカらしいと思って、今は紅小玉ばかり作っています。
画像は定植して1週間目の苗、もう伸び始めています。
土づくり
①苦土石灰の混入
定植の2週間前迄に鍬で土を良く耕して苦土石灰を混入しておきます。
苦土石灰の量は1㎡当たりやや多めの150gとします。
②元肥入れと畝立て
定植の1週間前に元肥として化成肥料と堆肥を入れ畝を整えておきます。
畝幅は60㎝とします。小玉スイカは皮が薄いために雨が降り急に水分を吸収すると実が破裂するので高畝にして、畝の周りにも水が溜まらない様にします。
化成肥料の量は1㎡当たり80gとします。尚花つき、実つきを良くする為にヨウリンを30g/㎡施してリン酸成分を補足しています。
スイカは初期に窒素肥料が効きすぎると、ツルボケとなって実付きが悪くなります。その為元肥の化成肥料は少な目にし、実が付いたら追肥で補います。
堆肥は製品により原料と成分が異なるので施す量は一概に言えませんが、毎作ごとに施している畑では、費用面からも多少は少な目でも良いと思っています。
わが家の場合は何を栽培するにしても毎作ごとに牛糞もみ殻堆肥を3㎡当たり中くらいの角スコップで軽く5杯程度と少な目ですが土の状態は健全に維持されているようです。
尚わが家では堆肥の量は野菜を問わずほぼ同量とし、施肥量は化成肥料の量で加減しています。
小玉スイカの元肥の入れ方は肥料の流失が少なく、長期間栽培に向く溝施肥が良いでしょう。
③マルチング
黒マルチを張ると地温が上がり活着と初期成育が良い、肥料持ちが良い、土が固くならず適度な湿度を保てるなど野菜の生育環境が良くなります。
④支柱づくり
わが家の場合、空中吊玉栽培なので、畝の脇に高さ2.3mで2.5m×2mの藤棚状の支柱を作ります。スイカの蔓は畝から垂直面そして上面へと誘引します。
棚下は通路兼用なのでスペースの有効活用となっています。
この棚で2株を育て、しっかりと育ったスイカを8個前後と放任して自然着果したスイカを同程度収穫可能です。
自然着果は梅雨明け後になることが多く、最初に着果したスイカはすでに肥大を終えているので、後で着果したものを育てても不具合は無いようです。
肥料を効かせて蔓の勢いを保てば、後のスイカもそこそこまで大きくなります。
定植
ポットを逆さにするようにして苗を抜き畝に植え付けます。植穴には注水して、水が沈んだら植えるようにすると根付きが良いです。終えたらタップリ水を与えましょう。
複数植える場合は100㎝の株間とします。
スイカは気温が安定して高くならないと弱る可能性もあるので、5月中旬位までは穴あきのビニール袋で覆って活着と成長を促します。
この期間にしっかりした根張りと活力を備えた株に育てる事が良いスイカを収穫するうえで第一の関門と言えるかもしれません。
※ポリエチレンをドーム状に成型した苗キャップがホームセンターなどで売られているので、定植後の苗の保温にはそれを使っても良いのですが、苗の周りに4本の支柱を立て透明なゴミ袋の底に数か所穴を開けたもので覆えば簡単かつ安上がりなうえ、袋はゴミ袋として再使用出来ます。
収穫
小玉スイカは開花、受粉から35日位が収穫の目安です。人工授粉から数えて35日目の収穫日を記した札を付けておくと忘れないし、楽しみですね。
40日でも熟し過ぎは無いみたいなので、心配ならそれ位で良いかもしれません。
但し小玉スイカは遅い時期に成った実(わが家で言えば2番果)は早く熟します。35日には必ず収穫した方が良さそうです。
札は発砲スチロールの食品トレーをカットして作り、マジックで書くのが一番分かり易くて安上がりです。
落果防止の為に防風ネットの切れ端で玉をハンモック状に支えてあげています。収穫ネットに玉を入れて吊るす方法もあるそうですが、スイカが重みで絞られて細長くなるような気がするのでやったことがありません。
手入れ
※追肥
一番果がピンポン玉大になったら1握りの化成肥料を畝肩に与えます。
後半になって着果したものも育てて食べたいと言うときは、更に2週間後に追肥して樹勢を落とさない様にします。
※病害虫
害虫ではアブラムシとハダニ、ウリハムシ、病気では蔓割れ病、うどん粉病などの被害を受けやすいです。不要な蔓を剪定して日当たりと風通しを良くして育てます。
終盤になり最後のスイカを収穫する前頃の時期になると再びアブラムシが発生して葉が全滅する事もあるので気が抜けません。
※整枝、受粉、支柱
苗を植え付けた後、5節まで伸びたら先端をカット(摘芯)して芽吹いた子蔓を3本育て、棚に配置良く誘因します。
子蔓がある程度成長すると花が咲くようになりますが、花には雄花と雌花があるので朝8時頃までに、雄花を取ってオシベを雌花に擦るようにして人工受粉させます。
受粉が成功すれば雌花の下のふくらみが日を追って大きくなるので解ります。ダメな時はやがて落ちてしまいます。
1つの子蔓には2個の着果を目指しますが、それまでに子蔓から出る孫蔓は取り除きます。その後も子蔓に更に着果したり、放任した孫蔓に着果したりするので、全体の着果程度と株の元気さを考えて摘果するか育てるか決めます。基本的には数を制限すれば大きく育ちやすいです。
支柱組の形は場所と好みによりますが、我が家ではふじ棚風にして、棚の外側に畝を作って誘引していますが、棚の上面まで伸びる前に6-7個位はスイカがぶら下がる感じです。
小玉スイカのプランター栽培
丸型プランターの10号に一本植えて育てています。種を買って育苗するまでもないので、苗を買って植え付けますが、プランターについては連作障害の心配が無いので、自家採種と育苗も面白いかもしれません。
支柱はあんどん状に組み立てて、そこに蔓をらせん状に誘引しながら育てています。
栽培時期
畑と同じ4/下~5/上にプランターに苗を植え付けます。
栽培手順
準備するもの
①プランター
直径33-35㎝、深さ40cm程度の丸形10号プランターを使います。これより小さいプランターでは土量が少なすぎて元気よく大きな株に育ちません。できれば12~13号のプランターが欲しいところです。
②野菜用培養土
野菜専用の新しい培養土を使えば一番安心ですが、もし古い用土を再利用する時は畑同様に苦土石灰や堆肥、化成肥料で事前に調整しておきます。
新しい培養土にはあらかじめ肥料が混和されていますが、生育途中の肥切れ防止のため元肥として緩効性の発酵油粕とヨウリンまたは又はマグアンプKを適量与えています。
草花兼用の培養土もありますが、高級品とはいかなくとも多少良質な野菜専用の培養土を使いたいものです。
赤玉土などの基本用土がしっかりと配合されて保水力、保肥力が優れているものは、再生しながら長く使えます。
新しい培養土を使えば病害虫のリスクが小さくて安心ですが、一度何かを栽培したものは病原菌や害虫の卵など心配も多くなり野菜が育つための養分も失われています。
再利用する場合は事前に日光や薬剤による除菌と殺虫そして失われた養分を補足するなどの土づくりが必要です。
又実際に用土を再利用する際は同じ土に再び同じ野菜や同じ科の野菜を栽培する事の無いように注意する必要があります。
③鉢底石
水はけを良くする為、プランターの底が隠れる程度に敷いて使います。ネットに入れて使えば、プランターの土を入れ替える際に土と混ざらずに作業が楽になります。
ネット入りもありますが、バラで買って自分でネットに入れた方が安上がりで量的な応用も自在です。
⓸小玉スイカの苗
4月の中頃になるとホームセンターなどで盛んに売られるようになるので簡単に入手できます。
定植
①プランターに用土をいれる
鉢底石をプランターの底が隠れる程度敷き詰め、上から培養土を鉢の縁から15㎝位まで入れます。
リン酸肥料のヨウリンまたはマグアンプKを軽く1掴み混ぜ入れておくと尚良いでしょう。
即効性のある化成肥料を元肥に入れると窒素肥料が効き過ぎて着果しにくくなるので控えた方が無難です。
②苗の植え付け
苗を逆さにしてポットを外したら、プランターの中央に置き、まわりに培土を足して植え付けます。
培土はプランターの縁から5㎝の位置まで入れます。終わったらたっぷりと水やりをします。
夜間はまだ気温が低いので5月中旬ぐらいまではビニール袋などで覆っておくと良いでしょう。
支柱
プランターの表土から1.5メートル前後の支柱を3-4本立て、あんどん型に固定したらネットを張ると簡単です。
収穫
定植後3か月位が目安になりますが、天候や人工授粉の成否によってズレが生じます。小玉スイカの場合は受粉後35日程度が収穫目安と言われていますが、心配ならば40日近くまで我慢して採っても失敗しないようです。
ただし遅めの時期に付いた実と強めの日照を長期間浴びた実は早く熟すので早めに採った方が無難です。
手入れ
※追肥
最初の実がピンポン玉程度になったら少量の化成肥料をプランターの端に3か所ほど与え少し土増しします。
もし葉が大きく繁茂しているようなら追肥は後日にずらします。様子を見ながら液肥を適宜与えるのも良いでしょう。
※整枝
苗が伸びたら5節目の先を摘んで、子蔓を出させ、2-3本を配置良く支柱にらせん状に這わしていきます。小蔓から出る孫蔓は繁茂し過ぎるのでカットします。
実は1蔓に1個×2蔓で2個採りを目安にしています。肥料過多で草勢が強すぎて子蔓に実が付かない場合は孫蔓に実を着けることもあります。
※受粉
晴れた日の朝、雄花を取って雄蕊を雌花に軽くこすり人工受粉させます。
成功すれば2~3日で実の肥大が始まるので、収穫目安日を記した札を付けておけば忘れる心配がありません。
尚スイカは肥大するにつれて急激に重くなるので、ネットなどで吊っておく必要があります。
※病害虫
うっかりするとアブラムシが付いていることがあるので葉裏には常に注意が必要です。
又ウリハ虫が葉の周りに舞っていることがありますが、これは見つけやすいので捕まえるか、薬剤処理します。
病気の防除は農薬による予防が効果的で主な手段ですが、家庭菜園で農薬を避けたい場合は不要な枝葉の剪定など適切な管理に気を配りながら細かく様子を見て行く事だと思います。
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