わが家のイチゴづくり

わが家のイチゴの育て方は親株のランナーから育苗して毎年栽培を繰り返します

家庭菜園向きのイチゴの育て方を我が家の菜園を例にして、 苗つくり、仮植、定植、収穫と順を追って紹介しています。
植え付け場所は畑の畝とプランターとハンギングで トンネルやハウスを用いない無保温で栽培しています。
出来るだけスペースを有効に使い、狭い場所でもたくさん採りたいと思っています。

/AomusiGarden

イチゴの基本情報

バラ科の多年草、適応土壌酸度PH6-6.5、連作(2年程度空ける)、生育適温15~25℃日照ー日向
連作は避けた方が無難のようですが、わが家の狭い菜園ではなかなか難しく、結局は毎年同じ場所で連作しています。
堆肥などの有機肥料を施し、又微量要素を補給する為に連作防止剤を混和してしのいでいます。
プランターには新しい用土を必ず使っています。

イチゴの栽培時期 (我が家での作型)

秋10月に定植して翌年の5月/下旬~6月/上旬に収穫です

6~7月に親株から出たランナーより苗を取り、採った苗の仮植を8月/15日、そして本定植は10月/10日、収穫は翌年の5月/下旬~6月/上旬を標準として栽培しています。
苗の採取開始はランナーの出かたにもよりますが6月/20頃が多いです。方法は収穫後の親株から発生したランナーの子株をポットに受けて根付かせます。
子株がポットに根を下ろしたことが確認出来たら7月/中旬~下旬にかけてランナーを切断して親株から自立させて仮植するまでポットで育てておきます。
わが家では、このような形で毎年畝とプランターで栽培を繰り返しています。

イチゴの育て方 – 栽培のポイント

趣味と自給を兼ねたわが家のわずかなイチゴ栽培の中で、特に留意しているポイントです。

1.苗は自分でつくる
イチゴの苗は自分でいくらでも作れます。 きちんと仮植して育てれば結構良い苗になってくれます。 ランナーから小苗を取って定植するまでには4か月近くかかり、根気の要る作業ですが、出来上がった際にはやりがいを感じるとともに苗購入代が不要なのでとても得した気分を味わえます。

2.時期を守る
苗取り、仮植、定植それぞれ適切な時期にしないと、苗がゴツクなりすぎたりして収穫時期に合わない育ち方をしてしまうので注意しています。
苗作りは収穫を終えてしまってから出てくるランナーから子株を採るとちょうど良い感じです。

3.肥料をやり過ぎない
仮植畝、定植畝共に肥料(とくに窒素)を与え過ぎると葉ばかり大きく繁って実付不良の株になってしまいます。
イチゴの肥料は窒素控えめとリン酸肥料重視そして速攻性を避けて緩効性のものが適していますが、 つい肥料を与えすぎる失敗を何度も重ねています。

4.定植畝には黒マルチを張る
保温と保湿、そして実の汚れを防ぐため定植する畝には黒マルチを張ります。
マルチは定植時に張っても良いですが、わが家では早春に追肥を施してから張っています。
尚畝間には藁などを敷いて実を土汚れから守っています。

5.病害虫の防除と防鳥
イチゴは病害虫の多い野菜なので、 苗取り中から育苗中は特に注意して健全な苗ができることを目指しています。
ポットに取った苗を仮植床に仮植する時期はコガネムシの幼虫に根を食べられたり、 実の付き始めの頃はうどんこ病に悩まされたりします。
病葉をまめに取り除いたり定期予防、防除を適切に行う事が大切です。 又実が色づき始める前に防鳥網を張らないと必ず鳥に食べられてしまいます。
ナメクジも要注意で、駆除しておかないと食害を受けて食べ物になりません。ナメクジは他の作物も含めての対策として、周囲の生息環境を無くしていくことが効果的なようです。

6.見た目も楽しむ
イチゴは花や実を眺めているだけでも癒しになります。 我が家ではプランターやハンギングなどにも多数植え付けて楽しんでいます。
特にハンギングは工夫次第でどこにも掛けられるので見た目もきれいで癒されます。 その為にも苗はたくさん必要なので自分で作らなければなりません。

イチゴの栽培手順

準備するもの

①苦土石灰

雨で酸性に傾きやすい土壌を、アルカリ性の苦土石灰を混入することで酸度の調整をします。又苦土石灰はカルシュームとマグネシュームの補給にもなり、これら微量要素の欠乏による生育不良を防止します。
苦土石灰は粉状と粒状があり、粒状のものが、風に飛ぶこともなく、使い易く健康的なので家庭菜園では多くの人が使っています。
石灰にはこの他に消石灰と有機石灰があり、それぞれの利点もあるのですが当面この苦土石灰があれば何も不足する事はありません。

②化成肥料、ヨウリンまたはイチゴ専用肥料、油粕

窒素Nリン酸PカリKの含有量がそれぞれ12前後のバランスのとれた配合で元肥と追肥の双方に使えるとの表記のある化成肥料が色々な野菜に使えるので便利ですが、いちごは窒素分が過ぎると葉ばかり繁り実付きが悪くなったり病気になり易くなるので、慣れないうちはいちご専用の肥料が安心です。
肥料分の強い化成肥料の場合は少な目に与えて、油粕とヨウリンを併用すると良いでしょう。

③堆肥

遅効性の肥料ですが、土壌中の有用微生物の増殖を助けて土をふかふかにして水はけを良くして地力の維持向上にも役立ち、又連作障害の軽減にも有効とされています。
肥料成分はそれほど高くない為、過不足による直接的な影響は少ないですが、土壌の健全性を保ちながら長く野菜を栽培する為には毎作ごとに施用した方が良いと思います。
牛糞など動物性のものに植物由来の素材を配合した色々な製品が販売されているので、使い方と施肥量をよく確認して使用します。
尚堆肥だけでは野菜が成長する養分を賄えないので、普通は化成肥料と併用して使います。
特にイチゴの場合はゆっくり効く堆肥などの有機質肥料が欠かせません。

野菜の肥料について

④ポット

10.5㎝の一般的なサイズの丸形のビニールポットですが苗取りに使います。

⑤野菜用培養土

新しい野菜専用の培養土なら一番ですが、微塵をフルイで抜いて石灰と堆肥を加えて再生しておいた土でも可能です。苗取り用のポットに使う野菜培養土です。

苗取り

※苗を購入する場合は、購入時期により仮植又は定植の為の準備からのスタートとなります。
※子株を畝の周りに自然に根付かせたものを秋の定植時期に掘り上げて定植する方法もありますが、その場合は長期にわたり畝が空かない事になり、狭い菜園では支障があります。
又苗も丁寧に仮植して育苗した方が確実に良いものが出来ます。

苗取のやり方
収穫を終えたら親株から盛んに伸びるランナーにできる子株を野菜培養土を入れたポットに誘引して根を下ろさせます。
針金でU字ピンを作ってポットの土に刺してランナーを留めると活着しやすいです。
ランナーは節々に子株を作りながら先に伸びていきますが、ポットに誘引する子株は親株から2節目以降のものを使います。
理由は時期的にちょうど良いことと親株に病気がある場合伝染し難いと言う点です。
子株がポットに完全に根を下ろしたらランナーを切断して親株から独立させますが、その際は目印としてランナーの親株側を10㎝程度残すようにします。
いちごは親株側の反対側に花を咲かせ実を付けるので、定植の際に畝の外側に実を付けるように植える為の目印となります。
プロの農家は一般的に苗取用の親株は別に植え付けたり、ランナーの子株を切断して植え付けて発根させたりしますが、家庭では収穫後の親株からこのような方法で苗取しても、一般的な秋植え春採りの栽培ならば十分間に合います。
尚イチゴの収穫前や収穫中にも盛んにランナーを伸ばすので、この時期のランナーは実に必要な養分を奪うので元から切り取り、収穫後に伸びるランナーから苗を採ります。

仮植畝づくり

親株から採った子株は定植までそのままポットで育てることも可能ですが、仮植畝で育てれば水やりの心配もなく、安全でかつ簡単にしっかりした苗に育ちます。

①苦土石灰の混入

仮植の2週間前迄に鍬で土を良く耕して苦土石灰を混入しておきます。
苦土石灰の量は1㎡当たり100gとします。

②元肥入れと畝立て

仮植の1週間前に元肥として化成肥料と堆肥を入れ畝を整えておきます。
畝幅は60㎝として、板で表面を平に均します。
化成肥料の量は1㎡当たり50g程度の控えめにして苗が繁り過ぎないようにします。溶リンなどの単肥でリン酸を補うか、いちご専用の肥料を使って窒素控え目、リン重視としています。

堆肥は製品により原料と成分が異なるので施す量は一概に言えませんが、毎作ごとに施している畑では、費用面からも多少は少な目でも良いと思っています。わが家の場合は何を栽培するにしても毎作ごとに牛糞もみ殻堆肥を3㎡当たり中くらいの角スコップで軽く5杯程度と少な目ですが土の状態は健全に維持されているようです。
尚わが家では堆肥の量は野菜を問わずほぼ同量とし、施肥量は化成肥料の量で加減しています。
イチゴの仮植での元肥の入れ方は全面施肥が良いでしょう。

苗の仮植

①植穴を掘る

畝に条間30㎝、株間17㎝をとって2列に植穴を掘っておきます。

②苗を植える

ポットをを逆さにするようにして子株(苗)を抜いてそのまま植え付けます。
苗に残したランナーは全て畝の内側に向けておきます。ランナーは育苗中に取れてしまうことがあるのでこの様にしておけば後で解らなくなる心配がありません。
尚いちごは深植えを嫌うので、苗ポットの上面の土を埋めないように浅めに植え付けます。
育苗中は出て来るランナーや脇芽、痛んだ下葉を取り除きながら、葉数を常に4枚程度にして育てます。

③水をやる

ジョーロを使い優しく水やりして仮植は終了です。

真夏なので、活着するまで乾燥による水切れに注意が必要です。定植までにポットに根がしっかり廻っている苗にしておくことが大事です、

本定植の土づくり

仮植床同様に窒素過多にしない事とリン酸の補給そして緩効性の肥料を心がけています。

①苦土石灰の混入

定植の2週間前迄に鍬で土を良く耕して苦土石灰を混入しておきます。
苦土石灰の量は1㎡当たり100gとします。

②元肥入れと畝立て

定植の1週間前に元肥として化成肥料と堆肥を入れ畝を整えておきます。
畝幅は80㎝とします。板で平に均しておきます。
化成肥料の量は1㎡当たり50gと少な目にしてヨウリンでリンの補給をし、緩効性の油粕を施します。
慣れないうちは、いちご専用肥料を使った方が無難だと思います。特に前作の残肥が多いと想定される時は化成肥料を多く施してははいけません。堆肥は仮植したときと同様に施しておきます。
イチゴの元肥の入れ方は畝全体に肥料をすきこむ全面施肥が良いでしょう。

※イチゴに与える化成肥料は速攻性の追肥専用タイプは使えません。元肥にも使える緩効性能もあるタイプが適しています。

土づくりの基本について

定植

10月上旬に畝に条間40㎝株間30㎝で2列に苗を定植します。
深植えはしないことと、花のつく向きを畝の外側にすることは仮植の時と同じです。クラウンに土が被るような深植えは禁物です。

マルチング

3月中旬に生育促進と病害予防、実の汚れ防止の為に黒マルチを張ります。
マルチを被せたら速やかにいちごの位置にカッターでマルチに切れ目を入れて葉を外に出し、冬の間に痛んだ下葉は取り除きます。

※マルチ張りはあまり早くしない
品種と地域にもよると思いますが、マルチが早すぎると花が早く咲きだして、天候によっては遅霜で結実が上手く行かない時があるようです。
マルチを張ったら畝の周りに藁を敷き詰めれば土の跳ね返りも無くさらに清潔になります。写真は藁の代用で、植木の雪囲いで使った縄を使っています。この縄は今年中に他の作物の栽培であと2回使い、以降堆肥となります。

収穫

4月中旬なると花が次々と咲いて、5月の末~6月上旬が収穫の盛期となります。
冬に咲いた花や未受粉の花は良い実にならないので摘み取ります。
受粉は暖かくなり虫が出てくれば心配ないですが、筆先で花を擦って人工受粉すれば確実です。

手入れ

※追肥

定植後2週間後に株の周りに化成肥料を2摘まみづつ施して株を充実させて越冬させます。
3月中旬枯れ葉を取り除き、化成肥料を同量施して黒マルチを張ります。
いちごは多肥と肥料が直接根に当たると痛むので、少量を株から離して与えます。追肥のやり過ぎも過繁茂と病気の原因になるので要注意です。

病害虫

病気ではうどん粉病、炭疽病が多いようです。肥料過多としない、水はけ良く、風通し良く育てることである程度軽減出来ますが、薬剤による予防防除が安心だと思います。
害虫では仮植中にコガネムシの幼虫に根を食害されることがあります。又アブラムシが良く付きますが、対策は病気の場合と同じで予防防除が安心です。
収穫期になるとナメクジと鳥害に要注意です。害を受ける恐れがある場合は薬剤やネットで駆除防除しておくと安心です。

病害虫と対策、農薬についてはこちらをご覧ください

イチゴのプランター栽培

クラウン(花芽が出る先端部分)がしっかりと成長した苗を適切な大きさのプランターに植え付け、肥料過多に気を付ければ、家庭用としては十分楽しめる程のたくさんのイチゴが必ず成ります。
プランター栽培でも収穫後の親株からたくさんの苗が作れるのがイチゴの良いところです。。
ハンギングプランターでの空間利用も省スペース家庭菜園に最適です。

イチゴの栽培時期

10月上旬に植え付けて翌年5月末~6月上旬収穫します。厳寒期を屋外で越させる為、十分に活着して根が回っていなければなりません。植え付け時期は遅れないように注意が必要です。
※苗を購入することを前提にしていますが、次年度分からは必要なだけ簡単に自分で育苗出来ます。

準備するもの

①プランター

縦520×横342×深さ267の野菜用プランターより少し長めの縦600のものを使っています。
イチゴは株が結構大きくなり、根も張るので、土量を増やして株間を確保するためです。
ハンギングフランターは幅30㎝位の大き目のものを使います。

②野菜用培養土

野菜専用の培養土ならある程度の肥料は含まれているのでそのまま使えます。
イチゴは窒素肥料過多になると葉ばかり大きく茂って花付きの悪い株になってしまいます。
新しい培養土を使うときは元肥を加えない方が無難です。
どうしても入れたい時はヨウリンかマグアンプKなどのリン酸肥料をごく少量に留めておきます。

草花兼用の培養土もありますが、高級品とはいかなくとも多少良質な野菜専用の培養土を使いたいものです。
赤玉土などの基本用土がしっかりと配合されて保水力、保肥力が優れているものは、再生しながら長く使えます。
新しい培養土を使えば病害虫のリスクが小さくて安心ですが、一度何かを栽培したものは病原菌や害虫の卵など心配も多くなり野菜が育つための養分も失われています。
再利用する場合は事前に日光や薬剤による除菌と殺虫そして失われた養分を補足するなどの土づくりが必要です。又実際に用土を再利用する際は同じ土に再び同じ野菜や同じ科の野菜を栽培する事の無いように注意する必要があります。

プランター用土の再利用について

③鉢底石

水はけを良くする為、プランターの底が隠れる程度に敷いて使います。ネットに入れて使えば、プランターの土を入れ替える際に土と混ざらずに作業が楽になります。

⓸いちごの苗

自家製の苗が無ければ、秋にホームセンターなどから買い求めます。売られている苗は小苗が多く、翌春にたくさんの実を付けるのは期待できません。
少し価格が高いですが大苗を求めるか、小苗を買った場合は、それを使って翌年から自分でしっかりした苗を作るという事になります。
春に売られている苗はその年に良い実をつることは難しいので、やはり苗取用と考えた方が良いと思います。
品種は露地栽培でも可能なとちおとめなどが良いようです。

栽培方法

①プランターに用土をいれる

プランターに鉢底石を敷いて、培養土を縁から5cm迄入れます。培養土にはあらかじめ肥料が入っているので元肥は必要ないのですが、リン酸の補足のためヨウリンを少し混和しておいても構いません。草花の趣味の人でマグアンプKを持っていたら、ヨウリンの代わりに使えます。

②苗を植え付ける

いちごの苗を株間30㎝とって2本定植します。深植えせずに、苗ポットの上面の土を埋めない程度の浅植えにします。
植え付け後は表土がプランターの縁から3㎝となる様に用土を調整しながら植えます。ハンギングは1本を植え付けます。

10月上旬、仮植して育てていた苗を移植ごてで掘り起こしてプランターとハンギングに定植。深植えを避けて花の咲く方向を外側にして植え付けます

③収穫

5月/下旬~6月/上旬には収穫となります。収穫が終るまでに出てくるランナーと寒い時に咲いた未受粉花に出来たいびつな実は摘み取って養分の無駄遣いを防ぎます。

手入れ

※追肥

3月になったら冬の間に痛んだ枯れ葉を取り除き少量の化成肥料を与えます。その後は葉の大きさや繁り具合を見ながら必要に応じてハイポネックスなどの花用の液肥を与えます。

※受粉

春先は花が咲いたら筆で花を擦るようにして人工受粉させます。暖かくなるにつれ訪花昆虫が発生するので自然受粉します。未受粉果ゃ奇形果は早めに摘み取ります。

※苗取り

収穫が終ったら、培養土を入れた10.5㎝のポットに、ランナーの子株を誘引して根を下ろさせます。
子株は親株から2節目以降のものを使います。
尚プランターやハンギングを少し高い台の上に置くとランナーが多数垂れ下がる形となって、ポットに受けやすくなります。
ポットの苗は一旦畑かプランターに仮植して秋の定植までしっかり育てます。
育苗中は出て来るランナーや脇芽、痛んだ下葉を取り除きながら、葉数を4枚程度にしながら育てます。

いちごの苗取、6/中~7/中
ハンギングプランターから多数のランナーがぶらさがり、一節目の子株はすでに下の地面に根付いているものもあれば、空中にもあります。苗は2節目以降の子株をポットに受けて採りますが、このように親株を少し高い所に置くと作業がやり易くなります。

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