前年の株から出た芽をさし芽するか株分けした苗を露地の畝に定植します
家庭菜園向きの食用菊の育て方です。苗は前年の親株から株分けするか、又は親株から出た芽を挿し芽して作ります。株分けはなるべく親株から離れたところから苗を取るようにします。
菊は植えっぱなしでも少しは採れますが、毎年土づくりして新しい苗を植えないと良い花が咲きません。化成肥料を少な目にし、緩効性肥料とリン肥を施します。
昔は菊を食べると言うと都会の人には珍しがられたものですが、今は全国的に知名度も上がっているようで新潟県のかきのもとや山形県のもってのほかが有名です。新潟では昔も今もなくてはならない秋の味覚の一つです。
/AomusiGarden
食用菊の基本情報
キク科、適応土壌酸度PH6-6.5、日照-日向
挿し芽して作った苗か株分けした苗を毎年別な場所で栽培します。
食用菊の栽培時期 (わが家の作型)
5月中旬の植え付けで10月末~11月初めの収穫となります。
食用菊の苗は昨年の株から春になって出て来る芽が10センチ程度に成長したらを株分けするか、又は切り取ってさし芽をして発根させるかのいづれかで苗を作ります。
食用菊の育て方 – 栽培のポイント
食用菊(かきのもと)を毎年自家苗で栽培しています。
1.苗は前年の株より挿し芽、又は株分けする
挿し芽苗の方が、親株からの病気の伝染が少なく丈夫に育つので手間を惜しまなければ、趣味としても挿し芽苗がお勧めです。
株分けする時は、出来るだけ親株から離れたものを採取します。
※さし芽は株分けする時期よりも早いので、親株を早く処分して、畝を早く空けるられることも、畝数の少ない家庭菜園では大きな利点です。
2.肥料は有機質を多めに、リン酸も施す
肥料は化成肥料は少なめにし、肥効が持続性のある油粕や堆肥を施します。又ヨウリンでリン酸を補足しておけば、色づきの良い大きな花が咲きます。
3.菊ネットで倒伏防止
菊ネット(縦横10㎝目のネットで地面に対して平行に張る事で、茎や枝が網目を通って上に伸びるので倒伏しなくなる)を張って倒伏しないようにします。
本来は切り花用の菊などを栽培する農家さんが使うネットですが、家庭菜園でも便利なので食用菊以外でも、蔓を絡ませたり色々な用途で使っています。
4.摘芯して枝数を調整
丈が10~15㎝程度になったら先端を摘芯し、芽吹いた芽を2~3本伸ばして育てます。それ以上の枝は混みすぎるので,掻きとってしまいます。摘芯は草丈を低く抑えるためにも効果的です。
5.病害虫に注意
菊は褐斑病になりやすく、下葉が枯れあがることがよくあります。程度が軽く花に影響なければ良いですが、気になる場合は薬剤での予防防除を徹底します。
又菊はアブラムシとハダニの被害も多いので、収穫期に差支えない頃迄は、予防や駆除をしておいた方が無難です。特に花にアブラムシが付いたら食べ物になりません。
6.収穫
例年10月の末に咲き始めます。満開になって一番綺麗なタイミングの花を選びながら手で摘み取るように収穫ます。
当然遅れて咲く花もあるので、家庭菜園では3回程度に分けて丁寧に収穫した方が長く楽しめます。
おひたしや酢の物などに使う事が多い食用菊ですが、食べる前には摘んできた花から花びらをむしるひと手間が少し面倒ですが、室内でリラックスしながらやっています。
栽培手順
準備するもの
①苦土石灰
雨で酸性に傾きやすい土壌を、アルカリ性の苦土石灰を混入することで酸度の調整をします。又苦土石灰はカルシュームとマグネシュームの補給にもなり、これら微量要素の欠乏による生育不良を防止します。
苦土石灰は粉状と粒状があり、粒状のものが、風に飛ぶこともなく、使い易く健康的なので家庭菜園では多くの人が使っています。
石灰にはこの他に消石灰と有機石灰があり、それぞれの利点もあるのですが当面この苦土石灰があれば何も不足する事はありません。
②化成肥料
窒素N、リン酸P、カリKの含有量がそれぞれ12前後のバランスのとれた配合で元肥と追肥の双方に使えるとの表記のある化成肥料が色々な野菜に使えて万能で便利です。
化成肥料は一般的に肥料成分が多く肥効が強い為経済的ですが、反面与え過ぎと根に直接触れるような施用は作物を傷める事があるので注意が必要です。
その為種蒔きや定植の1週間前までには施用して土とよく馴染ませておく事が基本です。尚化成肥料は本来即効性ですが製品によりゆっくり効く加工を施して元肥にも使えるものがあります。
菊は即効性の化成肥料は少な目に考えた方が無難です。
③ヨウリン
く溶性リン酸が20含まれるリン酸肥料で、苦土とケイ酸も含みます。アルカリ分が20%あり、花実をつける野菜の元肥で多く使われます。
④堆肥
遅効性の肥料ですが、土壌中の有用微生物の増殖を助けて土をふかふかにして水はけを良くして地力の維持向上にも役立ち、又連作障害の軽減にも有効とされています。
肥料成分はそれほど高くない為、過不足による直接的な影響は少ないですが、土壌の健全性を保ちながら長く野菜を栽培する為には毎作ごとに施用した方が良いと思います。
牛糞など動物性のものに植物由来の素材を配合した色々な製品が販売されているので、使い方と施肥量をよく確認して使用します。
尚堆肥だけでは野菜が成長する養分を賄えないので、普通は化成肥料と併用して使います。
⑤食用菊の苗
食用菊の苗は前年の株の地下茎から芽吹く新芽を株分けします。なるべく株から離れた元気よく根のたくさん付いた芽を選びます。芽は丈が10-15㎝成長したものを使いますが、長すぎる時は先を摘芯してもOKです。新潟ではかきのもとという品種が主流です。
※食用菊の苗については、株分けの他に挿し芽で作る方法もあります。親株の病気をもらい難く、元気に育つと言われています。
挿し芽をする場合は、育苗箱などに鹿沼土の小粒を入れて、そこに挿し穂を挿せばほぽ100%活着します。
挿し穂は親株から芽吹いた元気の良い芽を先端から2節目の部分を鋭利なカミソリ等で切断して使います。
挿す深さは1段目の葉の付け根までとします。始め日陰に置き、様子を見ながら徐々に陽に当てて慣らします。
挿す時期は気温の安定する4月10日過ぎが安全です。
土づくり
①苦土石灰の混入
定植の2週間前迄に鍬で土を良く耕して苦土石灰を混入しておきます。
苦土石灰の量は1㎡当たり100gとします。
②元肥入れと畝立て
定植の1週間前に元肥として化成肥料と堆肥を入れ畝を整えておきます。
畝幅は60㎝とし、板で平に均しておきます。
食用菊は草丈があるうえに、翌春に苗を採るまで堀り上げて処分する訳にはいかず、畝が長期間空かない為に、他の野菜の作付けの障害となります。
その為に畑の端などに畝立てして植え付けるなど、全体の栽培計画を考慮して場所を決めた方が良いでしょう。
化成肥料の量は1㎡当たり80gと少な目にします。前作の残肥が想定される時は半分程度にします。ヨウリン30g/㎡でリン酸を補足すれば花つきが良くなり、発色の良い大きい花が収穫できます。
又発酵油粕を与えて、肥料がゆっくりと長く効くような土づくりをします。
堆肥は製品により原料と成分が異なるので施す量は一概に言えませんが、毎作ごとに施している畑では、費用面からも多少は少な目でも良いと思っています。わが家の場合は何を栽培するにしても毎作ごとに牛糞もみ殻堆肥を3㎡当たり中くらいの角スコップで軽く5杯程度と少な目ですが土の状態は健全に維持されているようです。
尚わが家では堆肥の量は野菜を問わずほぼ同量とし、施肥量は化成肥料の量で加減しています。
食用菊の元肥の入れ方は肥料を畝全体にすきこむ全面施肥が良いでしょう。
苗の植え付け
①苗の準備
前年の株を鍬などで掘り起こし、元気よく根のたくさん付いた苗を必要数切り分けておきます。
なるべく親株から離れたものが、病気が伝染していなくて良いとされています。
挿し芽苗の場合は挿してから1ヶ月経過すれば定植するに十分な根量となっています。
②植え付け
条間30㎝、株間30㎝で2列に植え付ける。植え付けは曇天や雨天以外は午後3時過ぎに行った方が、植え痛みが少なく活着に良いです。植え付け後2-3日は日差しが強いと日中しおれていますが、その後元気に成長を始めます。
④水をやる
ジョーロを使い優しく水やりして植え付けは終了です。
日照りでも数日でしおれなくなります。それまでは表土が乾燥したら水やりします。
収穫
菊は短日植物なので日が短くなる秋になると蕾を付けて、早ければ10月下旬から開花が始まるので、花弁が十分に伸びて花の元気が盛りのものを摘み採り始めます。
次々と開花するので晴天の日を選び3回くらいに分けて収穫すると良いでしょう。
収穫は晴天の日に行い、前日雨の場合は花弁が十分に乾いてからにします。濡れていると花弁とがくを分ける際に非常にやり難いだけでなく痛み易くなります。
手入れ
※追肥
植え付け後3週間位に化成肥料を一株に2摘まみ程度の少量与えます。その後も蕾が出るくらい迄の間は3週間ごとに同様に追肥をします。
蕾が見えたら最後に発酵鶏糞を与えると大きくて色の良い花が咲きます。
※整枝、支柱
草丈20㎝位の時に摘芯すると数本の枝が分岐して丈が抑えられます。2-3本を残して育てます。
畝の周りに支柱を立て紐で囲い風で倒れないようにし、さらに表土から50㎝位の位置に菊ネットを水平に張れば倒伏防止には一番効果的です。
※病害虫
アブラムシとハダニがよく付きます。病気では葉に褐色の斑点が出来て下葉から枯れていく褐斑病になります。風通しに気を付けることと、薬剤による初期防除を行います。
特にアブラムシは花にも付くので被害を受けると気持ち悪くて食べ物にになりませんので、蕾が付いた頃に一度薬剤予防しておいた方が安心かもしれません。
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