露地の畝に横に蒔き溝を切ってそこにスジ蒔きする家庭彩向きの方法です
家庭菜園向きのホウレンソウの育て方です。畝の長手方向と直角に間隔17㎝で蒔き溝を作り、スジ蒔きします。酸性土壌に弱い為、石灰を多めに施します。
早春の種蒔きのみ保温が必要ですが、他は春、秋ともに不要です。発芽を揃える為に種を水で濯ぎ一晩水に浸してから蒔きます。
間引き菜もベビーリーフの頃から何回も利用出来ます。
葉物野菜と言えばホウレンソウを最初に思いうかべる人が多いのではないでしょうか。独特の味と葉の軟らかさは他の葉物とは一味違います。昨今は生のままサラダなどで食べる事も多くなったようです。
/AomusiGarden
ホウレンソウの基本情報
ヒユ科、適応土壌酸度PH6.5-7、連作(1年程度空ける)、発芽適温15から20℃、生育適温15~20℃
日照-日向~反陰
酸性土壌に弱い為、石灰は多めに施します。他の葉物野菜より病気が出やすいので、丁寧な土づくりと病気が出ていない場所での栽培に留意します。
ホウレンソウの栽培時期 (わが家での作型)
①早春蒔き
種蒔き3/13、収穫4/20頃~を標準にしています。未だ寒い時期なので4/中頃まではビニールトンネルの中での栽培となります。
発芽までは不織布をベタ掛けした方が保温と保湿効果で発芽が良好です。
②春蒔き
種蒔き4/7、収穫5/20頃~を標準としています。最適期なので一番育ちやすく、簡単です。虫害の心配も少ないです。
③秋蒔き
種蒔き9/10、収穫10/20頃~を標準としています。寒さが早い年は成長しきれない時がありますが、ビニールを掛けて調整します。
他の作物の関係上遅くしていますが、あと10日早く蒔けば安心です。尚これより少し遅めに蒔いて、途中からトンネルで調整しながら栽培する冬採り用も重宝します。
ホウレンソウの育て方 – 栽培のポイント
栽培時期により、ビニールトンネルや不織布で保温しながら育てます。発芽をきれいに揃える事と病害虫の防除がポイントです。
1.種はゆすいで一晩水に浸ける
ホウレンソウは種に発芽抑制物質が付いているので、種をすすぎ洗いしてから一晩水に浸けてから蒔くと発芽が良く揃うと言われています。
2.畝の横溝に筋蒔きする
ホウレンソウの種は大きめで見やすいので、丁寧に2㎝の間隔で蒔きます。固まって発芽したところを間引きする手間が省けます。
3.苦土石灰は多めに施す
酸性土壌に弱いホウレンソウなので、苦土石灰を多めに施します。
4.間引きは適切に
間引きは遅れることなく、適切なタイミングで行い、成長しやすい株間を確保します。間引き菜も柔らかくて美味しいです。
5.病害虫防除に留意
発芽して間もなく茎が根本から切られて倒れているのは、根切り虫の仕業です。周囲を指で掘り返し、虫を探して捕殺します。
被害の出やすい畑は事前に薬剤処理したり、防虫ネットをかけて成虫の飛来を防ぎます。
アブラムシがモザイク病を媒介するほか、ホウレンソウには様々な病気が出やすいので予防防除が効果的です。
水はけ良く加湿にならないように土づくりを丁寧にしています。
栽培手順
準備するもの
①苦土石灰
雨で酸性に傾きやすい土壌を、アルカリ性の苦土石灰を混入することで酸度の調整をします。又苦土石灰はカルシュームとマグネシュームの補給にもなり、これら微量要素の欠乏による生育不良を防止します。
苦土石灰は粉状と粒状があり、粒状のものが、風に飛ぶこともなく、使い易く健康的なので家庭菜園では多くの人が使っています。
石灰にはこの他に消石灰と有機石灰があり、それぞれの利点もあるのですが当面この苦土石灰があれば何も不足する事はありません。
②化成肥料
窒素N、リン酸P、カリKの含有量がそれぞれ12前後のバランスのとれた配合で元肥と追肥の双方に使えるとの表記のある化成肥料が色々な野菜に使えて万能で便利です。
化成肥料は一般的に肥料成分が多く肥効が強い為経済的ですが、反面与え過ぎと根に直接触れるような施用は作物を傷める事があるので注意が必要です。
その為種蒔きや定植の1週間前までには施用して土とよく馴染ませておく事が基本です。尚化成肥料は本来即効性ですが製品によりゆっくり効く加工を施して元肥にも使えるものがあります。
③堆肥
遅効性の肥料ですが、土壌中の有用微生物の増殖を助けて土をふかふかにして水はけを良くして地力の維持向上にも役立ち、又連作障害の軽減にも有効とされています。
肥料成分はそれほど高くない為、過不足による直接的な影響は少ないですが、土壌の健全性を保ちながら長く野菜を栽培する為には毎作ごとに施用した方が良いと思います。
牛糞など動物性のものに植物由来の素材を配合した色々な製品が販売されているので、使い方と施肥量をよく確認して使用します。
尚堆肥だけでは野菜が成長する養分を賄えないので、普通は化成肥料と併用して使います。
④ホウレンソウの種
早春蒔きはトウ立ちし難い品種を選びます。日本系、西洋系と品種は様々ですが、ホームセンターなどで売られているのは改良された西洋大葉系統のものが多いようです。強健で作り易いので家庭菜園向きだと思います。
土づくり
①苦土石灰の混入
種蒔きの2週間前迄に鍬で土を良く耕して苦土石灰を混入しておきます。
苦土石灰の量は1㎡当たり150~200gと多めに施します。ホウレンソウは酸性土壌に弱い為多めとします。
②元肥入れと畝立て
種蒔きの1週間前に元肥として化成肥料と堆肥を入れ畝を整えておきます。
畝幅は60㎝とし、板で平に均しておきます。表土の凸凹は水たまりや湿度のムラを生じて、発芽や生育のバラツキの原因となります。
化成肥料の量は1㎡当たり100gとします。
堆肥は製品により原料と成分が異なるので施す量は一概に言えませんが、毎作ごとに施している畑では、費用面からも多少は少な目でも良いと思っています。
わが家の場合は何を栽培するにしても毎作ごとに牛糞もみ殻堆肥を3㎡当たり中くらいの角スコップで軽く5杯程度と少な目ですが土の状態は健全に維持されているようです。
尚わが家では堆肥の量は野菜を問わずほぼ同量とし、施肥量は化成肥料の量で加減しています。
ホウレンソウの元肥の入れ方は畝全体にすきこむ全面施肥が良いでしょう。
種蒔き
①蒔き溝をつくる
板など畝に押し当て畝の長手方向と直角に条間17㎝、深さ1㎝の蒔き溝を作ります。
普通蒔き溝は長手方向に切りますが、この方法では溝の総長が長く取れて短い畝でたくさん採れます。家庭用なら1~1.5mの長さの畝で十分なほど採れます。
②種を蒔く
2㎝の間隔で重ならない様に種を溝に蒔きます。ホウレンソウの種は大きくて蒔きやすいので、蒔く間隔は丁寧に守った方が、その後の間引きが楽になります。尚晴天続きで乾燥気味の時は、畝に十分水を含ませてから、午後3時以降に種を蒔いた方が安心です。
下記の発芽促進策を施してから蒔けば、綺麗に生え揃います。
余った種は次も使えるので保存しておきます。
ホウレンソウの種は水で良くすすいでから一晩水に浸してから蒔くと発芽が揃います。
種の表面に付いている発芽抑制物質を洗い流すことと発芽しやすいように種に吸水させるためです。水に浸ける前に種の数を数え、必要以上浸けないようにします。
※種を数える時は、最初に25粒数え、次に目分量で同じ程度を取り分け、10取り分けたら250粒と言う方法が簡単です。ちなみに60㎝幅の畝では1条あたり25粒位が適当です。
ホウレンソウの種をすすぎ洗いして一晩水に浸けるには食品のトレーが便利です。上のトレーに種がこぼれない程度の小さな水抜き穴を10個位開けておくだけで、すすぎも水浸けも簡単に出来ます。すすぎ洗いと水浸けは2枚のトレーを重ねて使い、水切りする時は上のトレーを持ち上げるだけです。
③覆土する
1㎝位の厚さで種に土をかけ(覆土)板で軽く叩くようにして表面を押さえます。土をかける時は親指と人差し指で溝の両脇の土を寄せるようにすれば簡単です。
④水をやる
ジョーロを使い優しく水やりして種蒔きは終了です。
発芽迄表土が乾かないように、注意しながら発芽を待ちます。発芽してからは水やりは不要です。
保温
3月初めの栽培のみビニールトンネル内で保温します。発芽する迄不織布のべた掛けをしておけばさらに発芽良好です。
時季外れの高温の日もあるので日中トンネル内の温度管理に注意しながら育てますが、気温が安定し、遅霜の心配がなくなったらトンネルを取り払います。
その他の時期については春蒔き、秋蒔きともに保温なしの自然状態で元気よく育ちます。
間引き
1回目は子葉が展開したら固まって発芽している所があればほぐすように間引き、その後は成長に合わせて数回間引きして最終的には1条に4-5本程度とします。間引き菜も美味しく利用できます。
収穫
間引き菜も利用しながら好みの大きさ迄育てて収穫します。
手入れ
※追肥
草丈5㎝位になったら条間に化成肥料を施し、畝間の土をすくって土寄せします。条の向きが畝と直角のため鍬が使えないので移植ごてを使います。
家庭用なら多くても10条位の栽培なので、移植ごてでも簡単に出来ます。
※病害虫
軟らかい葉にアブラムシそして発芽から幼苗期は根切り虫に要注意です。根切り虫の場合は固まって被害が出ているのがすぐ分かるので探して捕殺するか薬剤で駆除します。
ホウレンソウはアブラムシが媒介するモザイク描そしてベト病など葉の病気の多い野菜なので適切な予防防除が一番ですが、無農薬の場合は水はけの悪さから来る加湿、密植による風通しの悪さ、病原菌のいない場所での栽培などに留意します。
ホウレンソウのプランター栽培
基本的に他の葉もの野菜同様に春と秋での栽培が可能ですが、ホウレンソウは酸性土壌を嫌うなど癖の強い性質があります。
新しい培養土を使う場合は問題ないですが、一度使った土を使う場合は石灰や元肥の混和など、土づくりには注意を要します。
栽培時期
ホウレンソウは暑さに弱いので春蒔きは遅すぎないように注意が必要です。
しかし苗が寒さに当たるとトウ立ちする性質も持っているので早すぎも危険です。4月中旬と9月初旬が種蒔きの適期です。
栽培手順
準備するもの
①プランター
縦520×横342×深さ267の野菜用プランターを使います。このプランターは中深で根の張りの浅いものからしっかりと張るものまで兼用できて使い勝手が良い為、わが家ではこの型でほぼ統一しています。
②野菜用培養土
草花兼用の培養土もありますが、高級品とはいかなくとも多少良質な野菜専用の培養土を使いたいものです。
赤玉土などの基本用土がしっかりと配合されて保水力、保肥力が優れているものは、再生しながら長く使えます。
新しい培養土を使えば病害虫のリスクが小さくて安心ですが、一度何かを栽培したものは病原菌や害虫の卵など心配も多くなり野菜が育つための養分も失われています。
再利用する場合は事前に日光や薬剤による除菌と殺虫そして失われた養分を補足するなどの土づくりが必要です。
又実際に用土を再利用する際は同じ土に再び同じ野菜や同じ科の野菜を栽培する事の無いように注意する必要があります。
③鉢底石
水はけを良くする為、プランターの底が隠れる程度に敷いて使います。ネットに入れて使えば、プランターの土を入れ替える際に土と混ざらずに作業が楽になります。
ネット入りもありますが、バラで買って自分でネットに入れた方が安上がりで量的な応用も自在です。
⓸ホウレンソウの種
種蒔き
①プランターに用土をいれる
プランターに鉢底石を敷いて、培養土を縁から3㎝迄入れます。
②種を蒔く
プランターの長手方向に深さ1センチの蒔き溝を、条間20㎝とって2本作ります。
溝は板か棒を押し当てて作ります。溝に種を1㎝間隔に筋蒔きして1センチの覆土をしたら軽く押さえ、ジョーロで優しく水やりします。
発芽までは表土を乾燥させないように注意しながら、適宜水やりをします。
間引き
1回目の間引きは子葉が展開したら固まって発芽しているところをほぐすように間引き、その後は成長に合わせて数回間引きして最終的には1条に5本程度とします。間引き菜も美味しく利用できます。
収穫
種蒔き後約55日位で収穫できます。好みの大きさまで成長したら元気よく葉色のきれいな時に収穫します。
4/6種蒔きして6/3収穫するまで57日間要しました。ホウレンソウは発芽迄少し日数がかかるので成長期間はやや長くなります。プランター栽培は身近に置いて楽しみながら新鮮な野菜を収穫出来るのが何よりです。
手入れ
※追肥
草丈5㎝位と15㎝位の時に化成肥料を条間とプランターの端にパラパラ程度与えます。週一度の液肥を与えても構いません。
※病害虫
ホウレンソウは葉が萎縮したり斑点が出て黄変したりする病気になることがよくあります。
葉が元気に成長しているか、食害されていないか、アブラムシなどの吸汁害虫が付いていないか注意して観察します。
プランター栽培の場合は新しい培養土を使えば葉に病状が表れる色々な病気、そして土中害虫の根切り虫などの被害に遭うリスクも小さくなります。
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