木箱に種を並べて蒔き本葉が出たら徒長しないうちに露地の畝に定植します
家庭菜園向きの枝豆の育て方です。枝豆の種を箱に蒔き、本葉が出始めたら畝に定植します。覆土しない為、発芽の様子が見える事と間引きしない為、種が無駄にならず、一つの箱の中で多くの苗が作れるのが利点です。
密植のため徒長するので遅れない様に定植しますが未だ鳥が食べるので、定植したら防鳥網をかけます。
枝豆は大人にとってはビールのつまみ、子供にはおやつ替わりにと、いくらあっても足りないくらい喜ばれます。とはいえ狭い菜園で、多くの枝豆を栽培するのは容易ではありません。わが家では春野菜と秋植え野菜の合間の間作栽培などで、何とか自家用分程度は確保しています。
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枝豆の基本情報
マメ科、適応土壌酸度PH6-6.5、連作(2年程度空ける)、発芽適温25-30℃、発芽可能10℃~
生育適温18-28℃、日照-日向
適応PHが高いので、石灰はやや多めの施用です。発芽適温が高いのと、吸湿した種は発芽環境が整わないと、発芽しないまま必ず腐れるので要注意です。
枝豆の栽培時期 (わが家の作型)
5月の半ばから6月半ば迄時期をずらしながら、順次育苗箱に種を蒔いて育苗してから定植する方法で作っています。
中生から晩生まで3種を組み合わせ、7月末から10月初め位迄収穫できるようにしています。
枝豆の育て方 – 栽培のポイント
狭い畑で、畝を効率よく使って、自家用の枝豆を栽培する為のポイント。
1.苗は箱で発芽させて作る
少しでも畝の使用期間を短くする為に、苗は箱に種を蒔いて作ります。箱で発芽した種は、間引きせず全て使う為、種も無駄になりません。
又覆土しない方法なので、発芽状況が目に見えることと、加湿による腐れなどの心配もありません。
2.間作を基本とする
春から6月半ばくらい迄に、他の野菜が収穫を終えて、空いた畝にも栽培します。
枝豆の収穫後の畝は秋に植え付ける野菜用とします。(晩生種を除いて)
3.品種は中生を基本にする
間作を基本とするので、品種は8/20くらい迄に収穫の終える中生を時期をずらしながら栽培することを基本とし、晩生枝豆の栽培は後作の計画に支障となるので少量にとどめています。
4.窒素肥料を控えめにする
実付悪く、枝葉だけ繁り過ぎのツルボケを回避するため、窒素肥料の与え過ぎは厳禁です。カリを少し施します。
栽培手順
用具と資材の準備
①苦土石灰
雨で酸性に傾きやすい土壌を、アルカリ性の苦土石灰を混入することで酸度の調整をします。又苦土石灰はカルシュームとマグネシュームの補給にもなり、これら微量要素の欠乏による生育不良を防止します。
苦土石灰は粉状と粒状があり、粒状のものが、風に飛ぶこともなく、使い易く健康的なので家庭菜園では多くの人が使っています。
石灰にはこの他に消石灰と有機石灰があり、それぞれの利点もあるのですが当面この苦土石灰があれば何も不足する事はありません。
②化成肥料
窒素N、リン酸P、カリKの含有量がそれぞれ12前後のバランスのとれた配合で元肥と追肥の双方に使えるとの表記のある化成肥料が色々な野菜に使えて万能で便利です。
化成肥料は一般的に肥料成分が多く肥効が強い為経済的ですが、反面与え過ぎと根に直接触れるような施用は作物を傷める事があるので注意が必要です。
その為種蒔きや定植の1週間前までには施用して土とよく馴染ませておく事が基本です。
尚化成肥料は本来即効性ですが製品によりゆっくり効く加工を施して元肥にも使えるものがあります。
枝豆の場合は窒素肥料の与え過ぎは厳禁なので、少量の施用です。
③堆肥
遅効性の肥料ですが、土壌中の有用微生物の増殖を助けて土をふかふかにして水はけを良くして地力の維持向上にも役立ち、又連作障害の軽減にも有効とされています。
肥料成分はそれほど高くない為、過不足による直接的な影響は少ないですが、土壌の健全性を保ちながら長く野菜を栽培する為には毎作ごとに施用した方が良いと思います。
牛糞など動物性のものに植物由来の素材を配合した色々な製品が販売されているので、使い方と施肥量をよく確認して使用します。
尚堆肥だけでは野菜が成長する養分を賄えないので、普通は化成肥料と併用して使います。
⓸育苗箱又は木箱、トロ箱などの容器
木箱やトロ箱は底に水抜きの穴を開けておきます。木箱は加湿を防ぐ自然の調湿機能があるので、失敗のリスクが小さく、使いやすいです。わが家ではほぼ手製の木箱を使っています。
発砲スチロールは気温の低い時でもトンネル内で土が温まり易く発芽し易い利点があります。
⑤種蒔き培土
種蒔き培土は発芽しやすく、生育に良い調合になっており、新しいものを使えば一番安心ですが、枝豆の場合は木箱を使って発芽間もなく定植する形を取っている事もあって、一度使った種蒔き培土を混用して使っています。
玉ネギの育苗箱で使ったものを冬期間に再生して再利用しています。
⑥枝豆の種
早生、中生、晩生とあり、品種も色々あります。中生が栽培期間も短く栽培の難易度も低いため家庭菜園には向いています。
中生の湯上り娘は味も香りも良く又実付きも良く、育て易い品種です。わが家で育てているのは、その他には早生の茶豆と晩生の肴豆が多少あります。
※箱蒔きの場合限られたスペースで必要な本数の苗を確保しなければならないので、ヒビ、変色、小さいなどの不良種は取り除いて蒔いた方が生育が揃い好結果が得られます。
その為発芽率の高い良品の種を求めるのが大事な様です。
種蒔き
①容器に用土を入れる
容器に種蒔き培土を8分目程度入れて平に軽く押さえます。ジョーロで丁寧に底まで浸みこむように湿らせます。
十分に湿らせた容器と湿らせる前の容器の重さを実感しておくと後々役立ちます。
培土にはあらかじめバケツ等の容器の中で吸湿させてから育苗箱に入れると書いてあるものもありますが、そうでないものについても、同様にした方が最初の水やりの際に水が浸みこみ易くなります。
吸湿加減は握ってもパサパサと崩れる程度とし、加湿は種マメが腐れるので避けます。
②容器に種を蒔く
容器に種を縦横4センチ間隔で並べ指で1.5㎝押し込み、覆土はしません。
このやり方は、発芽の様子が見える事と、種が無駄にならない事と、一つの箱の中でたくさんの苗が作れることが利点です。
温度条件が良ければ3-4日で種の色が変わり、根が出て種が持ち上がってきます。気をつけたい事は種の発根部分を下向きにして丁寧に押し込まないと発芽が綺麗に揃わないので注意します。
又豆の皮がきれいに外れずに双葉が上手く開かないことがあるので、見つけ次第手で取ってやります。豆の皮が綺麗に取れない時の対策としては、湿気のある種蒔き用土を豆の上に少し振りかけて、乾いたら水をスプレーします。
尚枝豆の種は長期保存したことはありませんが、翌年なら十分使えるので、余ったら保存しておきます。
※植物の種子は、土中の場合は発根部がたとえ上を向いていても、発根した根が下方に伸びる過程で芽になる部分は地中で反転するとともに種の皮が取れて地表から正常に発芽します。
反面覆土しない場合は、その動作がスムースに行えず、反転するのに時間がかかったり、枝豆などは皮が外れなかったりして変な形で発芽することがあります。
③覆土
覆土は全くせず、種が完全に見える状態にしておきます。ただし発芽迄必ず新聞紙を掛けて、直射日光や風で用土が乾燥しないように注意します。
④注水
用土はあらかじめ吸湿させてあるので種蒔き後の給水は不要ですが、心配の時はスプレーで軽く水を吹く程度で十分です。
以後発芽まで水やりは厳禁ですので乾きの激しい直射日光下には置かない様にします。
発芽が始まるまで新聞紙を必ず掛けておきます。
発芽迄表土が乾かないように、注意しながら発芽を待ちます。発芽してからは水切れと加湿に注意して育てます。
まだ発芽途中の種がある時は乾かないように新聞紙の代わりに不織布を掛けるのも有効です。
保温
枝豆は低温下では発芽せず、失敗すれば数日で腐れます。5月中は未だ夜間は低温なので、発芽失敗のリスクがありますのでトンネル内の保温下で発芽させ育苗すると安全です。
又この頃は日中は高温になり過ぎる日もあるので、トンネルの裾を上げ下げして温度管理をする必要があります。
尚発芽するまで適温の室内で管理し、発芽が揃ったら日中は屋外で日に当てる方法もあります。
間引き
適正間隔で種を蒔いているので行いません。発芽したら日光に当て間延びしないように育て、本葉が出たら早めに定植します。
完全な苗までは育てないことを前提にした種蒔き間隔なので、ゆっくり育てていると必ず徒長します。
土づくり
①苦土石灰の混入
定植の2週間前迄に鍬で土を良く耕して苦土石灰を混入しておきます。
苦土石灰の量は1㎡当たり150gとします。
②元肥入れと畝立て
定植の1週間前に元肥として化成肥料と堆肥を入れ畝を整えておきます。
畝幅は60㎝とし、板で平に均しておきます。
化成肥料の量は1㎡当たり少な目の50gとします。枝豆は少な目にしないと草丈が高くなり枝葉だけ繁茂して実付きが悪くなる性質があります。
それは自分で窒素肥料を作り吸収する機能があるからです。前作の残肥があると考えられる場合は化成肥料は与えずに、様子を見てから必要なら追肥します。
尚枝豆はカリを与えた方が良く出来るので、硫酸カリを適宜施用して肥効の感覚を掴んでいくことも大事だと思っています。
堆肥は製品により原料と成分が異なるので施す量は一概に言えませんが、毎作ごとに施している畑では、費用面からも多少は少な目でも良いと思っています。
わが家の場合は何を栽培するにしても毎作ごとに牛糞もみ殻堆肥を3㎡当たり中くらいの角スコップで軽く5杯程度と少な目ですが土の状態は健全に維持されているようです。
尚わが家では堆肥の量は野菜を問わずほぼ同量とし、施肥量は化成肥料の量で加減しています。
枝豆の元肥の入れ方は畝全体に肥料をすきこむ全面施肥とします。
定植
種蒔きから1週間~10日で条間30㎝、株間25㎝で1本づつ定植します。
密に種を蒔いているので徒長しない様に本葉が出たらすぐに定植しますが、まだ本葉が出たばかりの状態で子葉を鳩が食べるので鳩のいる場所は網を掛けるなどの対策が必要です。
品種によっては2本づつ定植するとの説明も結構ありますが、我が家では全て1本づつ植え付けています。定植は曇天や雨の日以外は、午後3時過ぎに行った方が植え痛み無く、活着が良いです。
収穫
定植後2カ月前後で収穫です。実を指で摘まんで見て、頃合いを見計らいながら収穫します。若採りのペシャンコよりもある程度膨らんだものが味も香りも良く美味しいです。
手入れ
※支柱立て、摘芯
風当たりの強い場所は倒伏するので支柱を立てて紐で囲んでおくと安心です。尚草丈を低く押さえたい時は2段目の本葉が出たら先端を摘む(摘芯)と枝が多数分岐し、草丈が低くなり、実も多く付きます。
※追肥
葉が黄色っぽく緑が薄い場合にのみ適宜追肥します。緑濃く元気に成長していればやりません。
※病害虫
カメムシが付き実の汁を吸引して、太らない実が多発することが結構あるので注意して観察する必要があります。
被害が心配される時は薬剤で適時に防除した方が安心です。
※鳥害
近年カラスが枝豆を食べる事を覚え、鞘をもぎ取って中の豆を器用に食べています。
防鳥網は掛けづらいので防鳥テープで対処していますが、時々テープの張場所を変えると警戒して寄らないようです。
倒伏防止の支柱はこのテープを張るためにも必要になっています。
※種採り
枝豆は自家採種できます。完熟させる必要があるので、邪魔にならない場所に必要本数を植えておけば良いと思います。
我が家では種採り用の枝豆をプランターに植えたりしています。この地域では早~中早生種は余り良い種は出来ませんが、晩生種の肴豆は結構良いものが採れています。
枝豆の種わ採取するにはさやの色が茶色に変わり、揺すると中の豆が動くようになったら、根本から切り取り吊るして乾燥させます。乾燥したら少量なので手で豆を取り出しています。家庭では2~3本の種採り用の枝豆を作っておけば十分です。
枝豆のプランター栽培
プランターに種を直蒔きして育てます。種が無い場合はプランターの数が少ない時は苗を買って植え付けた方が良いでしょう。
栽培時期
一番育てやすい中生種なら5月の中旬から下旬の間に種を蒔いて2か月半後位に収穫という形が一般的です。苗を買って植えるなら2週間程度遅くて良いでしょう。
栽培手順
準備するもの
①プランター
縦520×横342×深さ267の野菜用プランターを使います。この中深のプランターは根の張りの浅いものからしっかりと張るものまで兼用できて使い勝手が良い為、わが家ではこの型でほぼ統一しています。
②野菜用培養土
草花兼用の培養土もありますが、高級品とはいかなくとも多少良質な野菜専用の培養土を使いたいものです。
赤玉土などの基本用土がしっかりと配合されて保水力、保肥力が優れているものは、再生しながら長く使えます。
新しい培養土を使えば病害虫のリスクが小さくて安心ですが、一度何かを栽培したものは病原菌や害虫の卵など心配も多くなり野菜が育つための養分も失われています。
再利用する場合は事前に日光や薬剤による除菌と殺虫そして失われた養分を補足するなどの土づくりが必要です。
又実際に用土を再利用する際は同じ土に再び同じ野菜や同じ科の野菜を栽培する事の無いように注意する必要があります。
尚枝豆は窒素肥料が過ぎると枝葉ばかり茂り実が付きにくい性質があるので、用土に窒素を含む肥料を元肥として加えないことが肝心です。
③鉢底石
水はけを良くする為、プランターの底が隠れる程度に敷いて使います。ネットに入れて使えば、プランターの土を入れ替える際に土と混ざらずに作業が楽になります。
ネット入りもありますが、バラで買って自分でネットに入れた方が安上がりで量的な応用も自在です。
⓸枝豆の種
中生種の湯上り娘や茶豆などが適しています。早生種は発芽に失敗しやすく晩生種は草丈が高く、又生育期間の長いものが多いのでプランターでは避けた方が賢明です。
種蒔き
①プランターに用土をいれる
プランターに鉢底石を敷いて、培養土を縁から3㎝迄入れます。
②種を蒔く
プランターに4ヵ所瓶の蓋などを押し当てて種を蒔く窪みを作ったら種を3-4粒ほど蒔いて軽く覆土します。種蒔き後はジョーロで軽く水やりします。
種蒔き前にはプランターの用土には底まで十分に水分が浸みるように丁寧に水やりをしておきます。用土全体に含水してないと短時間で乾燥してしまい発芽不良の原因となります。
尚枝豆は発芽するまで水やりは厳禁ですので、乾燥防止のため新聞紙を1枚被せておいて、発芽したら取り除くようにします。
※室内で発芽させてからプランターに移植する方法
5月中旬は夜間はまだ肌寒い日が多いです。枝豆の種は吸湿後に発芽温度が整わずに発芽出来ないと必ず腐れてしまいます。
それを避けるためにパックなどの容器に種蒔き用土を入れて暖かい室内で発芽させてからプランターに移植する方法もあります。
その場合室内では必ず苗が徒長するので、暖かい日中は外で陽に当てるようにして育て、本葉が出かかった位の小さなうちに1ヵ所1本植え付けます。
間引き
芽が出そろったら元気の良いものを1ヵ所1本残して他は間引きします。
収穫
種蒔き後2か月半位からさやが膨らんできます。食べごろになったものからハサミで切り取って収穫します。尚翌年用の種を採種する場合はさやを必要数残して完熟するまで待ちます。
尚我が家では種取用なので若実は収穫しません。
手入れ
※摘芯
プランターの場合特に草丈を抑えたいところなので、2段目の本葉が出たら先を摘んで枝を多数分岐させて低めの木に実をたくさん成らせるようにします。
※支柱
プランターの四隅に支柱を立てて紐で囲んでおけば倒伏防止になって安心です。
※追肥
葉の色が濃くて大きい場合は必要ありません。もしその反対なら液肥を与えながら様子をみても良いでしょう。
※病害虫
カメムシが付くことがありまのでまめにチェックします。カメムシは実の汁を吸引してしまうので、この虫がいるとさやは膨らまずに萎縮してしまうので、見つけ次第捕殺するなどして駆除します。
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栽培ごよみ – わが家の家庭菜園での栽培時期や育て方などを参照していただけます
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